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元イーサリアム財団の精鋭5人が新組織「Ethlabs」を始動、決済を12秒に短縮する「15分ファイナリティ問題」の解決へ
イーサリアム財団(EF)の元シニア研究者5人が、機関投資家向けの決済インフラ改善を目指す独立非営利研究開発機関「Ethlabs」を2026年6月22日に設立した。同機関は、金融機関や資産運用会社によるイーサリアム上での大口決済を阻む「15分間のファイナリティ(取引確定)遅延問題」の解決に焦点を当てる。財団からの相次ぐ人材流出と組織再編が進む中、イーサリアムのコアプロトコル開発体制は大きな転換期を迎えている。
■Ethlabsが解決に挑む「15分ファイナリティ問題」
現在、イーサリアムで取引が「ファイナリティ(覆らない状態)」に達するには約15分かかる。これは、現在の合意形成メカニズム「Gasper」(LMD-GHOSTフォーク選択ルールとCasper FFGの組み合わせ)が、取引確定までに12秒のブロック・スロットを64〜95個連続して必要とするためである。即時決済に慣れた金融機関や資産運用会社にとって、15分という遅延は致命的であり、イーサリアムを主要な決済インフラとして採用する上での大きな障壁となっている。
イーサリアム財団が2026年2月に発表したロードマップでは、取引を提案された同じ12秒のスロット内で確定させる「シングルスロット・ファイナリティ(SSF)」の実現を掲げている。Ethlabsの共同設立者であるアンスガー・ディートリヒス氏(エグゼクティブディレクター)やバルナベ・モノ氏らは、財団時代にこのSSFやMEV(最大抽出可能価値)の研究を主導してきた人物だ。Ethlabsの設立により、これらの研究は独立した資金調達を得て、財団の予算制約に縛られることなく加速されることになる。
■巨額のETHを保有する支援者と研究の独立性
Ethlabsの主な支援者には、上場企業として世界最大級のETH保有量を誇るBitmine Immersion Technologies(NYSE: BMNR)とSharpLink(NASDAQ: SBET)のほか、イーサリアム共同創業者のジョー・ルービン氏、Anchorage Digital、Octant、SNZなどが名を連ねる。資金は独立した助成金管理組織を通じて提供され、支援者は研究の優先順位決定に関与できない。最終決定権はEthlabsのリーダーシップが握る仕組みだ。
この独立性に関する条項は、支援者が持つ巨額の利害関係を考慮すると極めて重要である。2026年6月21日時点で、Bitmineは約567万ETH(約98億ドル、1ドル=162円換算で約1兆5,876億円)を保有しており、これはイーサリアム総供給量の約4.7%に相当する。SharpLinkは2026年5月11日時点で87万2,984 ETH(約15億ドル、同約2,430億円)を保有している。Bitmineはバリデータネットワーク「MAVAN」を通じて470万ETHをステーキングしており、年間推定2億2,300万ドル(同約361億円)のステーキング収益を得ているため、イーサリアムの高速化は同社の資産価値に直結する。
SharpLinkの最高経営責任者(CEO)であるジョセフ・シャロム氏は、今回の資金提供を「ネットワークの機関投資家向け対応への投資」と位置づけている。また、Bitmineの会長であるトム・リー氏は、金融機関やAIエージェントによる採用拡大に対応するため、エコシステムの研究能力を拡張する必要があると述べた。
■転換期を迎えるイーサリアム財団
Ethlabsの立ち上げは、2026年上半期にイーサリアム財団で起きた一連の人材流出と深く結びついている。1月以降、共同エグゼクティブディレクターのトマシュ・スタンチャク氏(2月辞任)や、プロトコルコーディネーターのティム・ベイコ氏、バルナベ・モノ氏(5月辞任)、そしてもう一人の共同エグゼクティブディレクターであるシャオウェイ・ワン氏(6月18日辞任)など、少なくとも9人のシニアメンバーが財団を去った。
これは、ヴィタリック・ブテリン氏が2025年に主導した組織再編の二次的影響とされている。この再編により、財団は中央集権的な運営権限を手放し、検閲耐性、回復力、オープン性、プライバシー、セキュリティ(CROPS)に焦点を当てた、よりスリムな助成金・研究管理組織へと移行した。
元メンバーのトレント・ヴァン・エップス氏は、10以上の独立したクライアントチームを維持するには年間約3,000万ドル(約48億6,000万円)が必要であり、財団の支出削減により3〜9カ月以内に開発資金が不足する可能性を警告している。一方で、元研究者のダンクラッド・ファイスト氏は、離脱は思想的な対立ではなく、財団の内部文化や管理上の問題によるものだと指摘している。
財団の暫定ディレクターであるバスティアン・アウエ(通称Aerugo)氏は、Ethlabsの発表と同日に、独立したスピンアウト組織を評価・資金提供するための6つの基準を発表した。Ethlabsは、財団のキャパシティを超えた重要課題に取り組み、特定の資金提供者に依存しない体制を整えるなど、これらの基準を満たすように設計されている。
■今後の研究領域と支配権の行方
Ethlabsは、高速決済(SSFなど)、メインネットの容量拡張、ネイティブ資産の発行(ベースレイヤーでのトークン化資産サポート)、クロスチェーンの相互運用性、ETHの貨幣的特性の研究という5つの領域を発表した。
これらの優先事項は、すでにイーサリアム上で稼働している機関投資家ユーザーの需要と一致している。RWA.xyzのデータによると、イーサリアムは世界全体のステーブルコイン市場(約3,000億ドル、約48兆6,000億円)の約53%、トークン化された現実資産(RWA)市場(約3,200億ドル、約51兆8,400億円)の約半分を占めている。Ethlabsとその支援者は、プロトコルの技術的制約を解消することで、競合ネットワークにシェアを奪われることなく、イーサリアムを機関投資家向け金融のニュートラルな決済インフラとして確立できると見込んでいる。
すでにUniswapのヘイデン・アダムズ氏やBaseのジェシー・ポラック氏など、50以上のコミュニティ関係者が支持を表明している。すべての研究成果はオープンに公開される予定だが、巨額のETHを保有する資金提供者と研究者の間に設けられた「独立した助成金管理組織」というガバナンス構造が、今後も機能し続けられるかが注目される。
■注目ポイントQ&A
●Ethlabsとはどのような組織で、誰が設立したのですか?
Ethlabsは、イーサリアムの機関投資家向け採用を促進するための独立非営利研究開発ラボです。2026年6月22日に設立され、イーサリアム財団の元シニア研究者5人(アンスガー・ディートリヒス氏、バルナベ・モノ氏、キャスパー・シュワルツ=シリング氏、ジョシュ・ルドルフ氏、ジュリアン・マ氏)が共同で立ち上げました。取引確定の高速化やメインネットの容量拡張などの技術的課題の解決を目指しています。
●Ethlabsが解決を目指す「15分ファイナリティ問題」とは何ですか?
現在のイーサリアムでは、取引が確定(ファイナリティに到達)するまでに約15分かかります。これは合意形成メカニズムの仕様上、64〜95個の連続するブロック・スロットが必要なためです。この遅延は、即時決済を求める金融機関にとって大きな障壁となっています。Ethlabsは、取引確定時間を約12秒に短縮する「シングルスロット・ファイナリティ(SSF)」の実現を目指しています。
●Bitmine社やSharpLink社がこの研究を支援する理由は何ですか?
両社は世界最大級のETH保有企業であり、イーサリアムが機関投資家向けのインフラとして成功することに直接的な財務上の利害関係を持っています。ただし、研究の独立性を保つため、資金は独立した助成金管理組織を通じて提供され、両社はEthlabsの研究優先順位の決定権を持っていません。
●2026年にイーサリアム財団で何が起きたのですか?
2026年上半期に、共同エグゼクティブディレクター2人を含む少なくとも9人のシニア研究者や幹部が財団を去りました。これは、財団をよりスリムな助成金・研究管理組織へと移行させる2025年の組織再編に伴う影響とされています。元メンバーからは、支出削減によりコア開発チームの資金が不足する可能性も警告されています。
元記事: Ethereum Research Lab Ethlabs Launches: Five EF Alumni Target 15-Minute Finality Problem
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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