日経平均7万円台、含み益でも売るべきか 新NISA「枠復活ルール」の落とし穴

2026年6月22日 19:33

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 日経平均株価が史上最高値圏で推移している。22日の終値は7万2,353円をつけた。新NISA(少額投資非課税制度)で積み立ててきた個人の多くに、まとまった含み益が出ている。

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 ここで頭をよぎるのが「売り時ではないか」という思いだろう。利益が出ているうちに確定したい。そう考えるのは自然だ。ただ、動く前に確かめておきたい点がいくつかある。

■非課税でも、枠はすぐに戻らない

 まず押さえたいのは、NISA口座と課税口座では売却の意味が違う点だ。課税口座なら、利益に約20%の税金がかかる。一方、NISA口座の売却益は非課税で、利益はそのまま手元に残る。ここだけ見れば、NISAは「いつ売っても得」に思えるだろう。

 だが、見落とされやすい仕組みもある。非課税枠の復活には時間差が生じる。新NISAでは保有商品を売ると、その分の枠が再び使えるようになる。ただし枠が戻るのは売却した翌年だ。

 しかも、戻る金額は売却時の時価ではない。買ったときの金額、いわゆる簿価(取得価額)が基準となる。

 たとえば100万円で買った投資信託が150万円に値上がりし、それを売ったとしよう。手元には150万円が入る。その際戻る枠は、購入時の100万円分にとどまる。値上がりした50万円分の枠は戻らない。

 この仕組みを知らずに売ると、「枠はすぐ戻る」という前提が崩れてしまう。短期の売買を繰り返すほど、枠を効率よく使いにくくなる。

■長期運用の途中で売るコスト

 もう一つ、売却が長期運用に与える影響も見ておきたい。積立投資の強みは、時間をかけて複利を働かせる点にある。複利とは、運用で得た利益がさらに利益を生む効果のことだ。保有期間が長いほど、その力は大きくなる。

 途中で売れば、この連鎖はいったん途切れる。買い直すこともできるが、相場のタイミングを正確に読むのは誰にとっても難しい。「高値で売り、安値で買い戻す」という動きは、想像以上に成功しにくい。

 とはいえ、売却そのものが悪いわけではない。住宅購入や教育費など、近く使う予定の資金なら、利益が出ている局面で確定させる選択には合理性がある。新NISAの枠が翌年復活する仕組みは、こうしたライフイベントに合わせて使うことも織り込んでいる。

 見極めのカギは、その資金をいつ使うかにある。10年、20年先を見据えた老後資金であれば、目先の高値に反応して急ぐ理由は乏しい。逆に数年以内に使う予定があるなら、利益を確定して値動きの小さい資産に移す手も現実的だろう。

 大切なのは、株価の水準よりも、自分が資金を使う時期を起点に置くことだ。「最高値だから売る」ではなく、「この資金はいつ必要か」から逆算する。順番を入れ替えるだけで、判断の軸は定まりやすくなる。

 含み益は、資産形成の途中経過にすぎない。確定して初めて損益は現実になるが、それが最善とは限らない。売る局面か、持つ局面か——答えは相場ではなく、自分の資金計画の中にある。(記事:高瀬ナオ・記事一覧を見る

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