イノベーションホールディングス、27年3月期は2ケタ増収・減益予想ながら転貸借物件数増加で収益拡大基調

2026年6月1日 07:51

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 イノベーションホールディングス<3484>(26年3月24日付で東証プライムから東証スタンダードへ市場変更)は、飲食業の小規模事業者を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗を転貸借する店舗転貸借事業を主力としている。転貸借物件数の増加に伴って賃料収益を積み上げるストック型ビジネスであり、旺盛な個人・小規模飲食事業者の出店需要に対応するため積極的な仕入を継続している。27年3月期は前期の不動産売買事業における大型・高利益物件売却の反動などで減益予想としている。ただし保守的だろう。転貸借物件数が増加基調であり、店舗家賃保証事業の積極展開なども寄与して収益拡大基調を期待したい。株価は水準を切り下げる形となって軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■飲食業の出店希望者向け居抜き店舗転貸借事業

 首都圏一都三県(特に東京都)において、飲食業の小規模事業者を中心とする出店希望者向けに居抜き店舗(造作物が残っており、すぐに営業できる状態の物件)を転貸借する店舗転貸借事業を主力として、不動産業者とのリレーションシップ強化を主目的とする不動産売買事業、および独自の審査ノウハウを活用した店舗物件専門の家賃保証事業も展開している。

 持株会社である同社の傘下に、事業会社として店舗転貸借事業のテンポイノベーション、不動産売買事業のアセットイノベーション、店舗家賃保証事業のセーフティーイノベーションの3社を置く体制としている。なお同社はクロップス<9428>の連結子会社だが、営業上の取引はなく経営上の独立性を確保している。

 26年3月期のセグメント別業績は、店舗転貸借事業(店舗家賃保証事業を含む)の売上高が178億03百万円で営業利益が15億48百万円、不動産売買事業(売買物件保有期間における賃料収益および按分した全社販管費を含む)の売上高が22億09百万円で営業利益が4億92百万円だった。

 売上高のランニング収入(転貸借物件からの賃料収入、転貸借契約更新時の更新手数料収入など継続して計上される収入)と、イニシャル収入(礼金等の手数料収入や居抜き物件に関わる造作等の売却収入など一時的な収入)の売上高の内訳は、店舗転貸借事業のランニング収入が156億44百万円、店舗転貸借事業のイニシャル収入が13億24百万円、店舗転貸借事業の店舗家賃保証が8億83百万円、不動産売買事業(イニシャル収入)が21億60百万円だった。店舗転貸借事業のランニング収入が約8割を占めるストック型の収益構造である。

■転貸借契約件数は増加基調

 店舗転貸借事業は、仲介ではなくサブリースでもなく、不動産業における第6のカテゴリーと位置付けている。不動産オーナーにとっては賃貸料収入安定、不動産会社にとっては仲介収益機会獲得、店舗出店者にとっては出店費用削減、店舗撤退者にとっては閉店コスト削減というメリットがある。また飲食業は他の産業との比較で、開業・廃業による入れ替わりが激しいため市場機会が豊富という特徴もある。さらに造作物(厨房機器、テーブル、床コンクリート、排気ダクトなど)の廃棄量を削減できるという点で、持続可能な社会の実現に貢献するビジネススキームである。

 保有物件数(転貸借物件数)の増加に伴って賃料収益(ランニング収入)を積み上げるストック型ビジネスモデルである。26年3月期の新規契約件数および後継付け件数(転貸借契約を解約後に次の転借人と転貸借契約を締結した物件)の転貸借成約件数の合計は前期比119件増の607件、期末時点で転貸借契約が締結されている転貸借物件数は315件増の3021件となった。成約件数は営業組織の構造改革や仕入物件の対象拡大などの効果によって増加基調であり、これに伴って転貸借契約物件数も増加基調である。

■不動産売買事業は不動産業者とのリレーションシップ強化も目的

 不動産売買事業は不動産業者とのリレーションシップ強化も目的として、長期保有は行わず一定の資金枠内で資金効率を重視して売買を行う。26年3月期は7物件を売却、6物件を取得し、期末時点の保有物件数は3件となった。なお業績は物件売却によって変動する可能性がある。

■中期経営計画

 中期経営計画(ローリング方式により毎期見直し、26年5月13日付、対象期間27年3月期~29年3月期)では計画値として、27年3月期売上高227億75百万円、営業利益19億53百万円、営業利益率8.6%、経常利益19億86百万円、親会社株主帰属当期純利益12億76百万円、転貸借成約数700件、期末転貸借物件数3416件、28年3月期売上高262億25百万円、営業利益23億60百万円、営業利益率9.0%、経常利益23億93百万円、親会社株主帰属当期純利益15億35百万円、転貸借成約数840件、期末転貸借物件数3876件、そして最終年度29年3月期売上高304億43百万円、営業利益28億99百万円、営業利益率9.5%、経常利益29億32百万円、親会社株主帰属当期純利益18億81百万円、転貸借成約数960件、期末転貸借物件数4932件を掲げている。27年3月期と28年3月期については、売上高、各利益とも前回計画に対して上方修正した。配当予想については27年3月期が前期と同額の34円(配当性向44.7%)で、28年3月期と29年3月期は配当性向30%~40%を目安とする。

 基本方針としては、事業用不動産に特化した3事業(店舗転貸借、不動産売買、店舗家賃保証)を各子会社で積極展開し、グループの継続的な成長を加速する。店舗転貸借事業では営業力増強に向けて営業増員(量的強化)、組織最適化(配置最適化)、営業教育(質的強化)を推進する。そして31年3月期に転貸借物件数5500件を目指す。また賃貸、ビルメンテナンス、仲介といった関連事業にも対応する。不動産売買事業では物件の仕入と販売を分業化するほか、スピーディーな商談対応と積極的なバリューアップによる仕入件数と粗利益の最大化、販売ルート拡大や商談状況・ノウハウの共有により仕入物件売却の早期化(回転率向上)を目指す。店舗家賃保証事業では、全国展開を加速させる基盤確立に向け、従来の3支店に加えて、27年3月期中に新たに4支店(福岡、名古屋、仙台、札幌)を開設予定である。これに合わせて採用を強化し、営業人員を20名規模から40名規模へ倍増させて規模の拡大を図る。

 またDX・ITの活用として、小規模オフィス紹介サイト「ちいきぼオフィス」を強化するとともに、家賃保証と「ちいきぼオフィス」の一体提供による「創業支援プラットフォーム」を、軸にベンチャー企業等の創業を支援する「創業信用インフラ企業」への展開も目指す。

 CSR活動としては、飲食店舗を活用した「子ども食堂」を19年6月から開催している。店舗の特性を活かして、子供達への食事提供にとどまらず、地域における居場所づくり、親御さんへの支援といった社会的インフラになることを目指している。またESG活動として、居抜き物件を活用するビジネススキームにより、産業廃棄物(造作物)の廃棄量削減に貢献している。

 なお22年4月の東京証券取引所の市場再編でプライム市場へ移行し、28年3月末までにプライム市場の上場維持基準への適合を目指してきたが、株主・投資家が安心して同社株式を保有・売買できる環境の確保に向けて、26年3月24日付で東証プライムから東証スタンダードへ市場変更した。ただしスタンダード市場へ移行後も主要な取引先との取引に対する影響は極めて少なく、同社グループの事業価値を棄損するものではないと認識している。また今後も引き続き事業の拡大を図りながら、グループ全体としての企業価値の向上に努める。

■27年3月期は前期の反動で減益予想だが保守的

 27年3月期連結業績予想は売上高が前期比13.8%増の227億75百万円、営業利益が4.3%減の19億53百万円、経常利益が12.3%減の19億86百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%減の12億76百万円としている。転貸借成約数は前期比93件増の700件、期末転貸借物件数は395件増の3416件の計画である。配当予想は前期と同額の34円(期末一括)としている。予想配当性向は44.7%で、配当性向は3期連続で40%台となる。

 売上高は期末転貸借物件数が順調に積み上がるほか、店舗家賃保証事業の支店積極展開なども寄与して2ケタ増収見込みだが、利益面は前期の不動産売買事業における大型・高利益物件売却の反動に加え、店舗家賃保証事業の先行投資(全国展開に伴う支店開設や採用)も影響して減益予想としている。ただし保守的だろう。転貸借物件数が増加基調であり、店舗家賃保証事業の積極展開なども寄与して収益拡大基調を期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)については、毎年3月31日時点で500株以上保有し、かつ1年以上継続して同社株式を500株以上保有している株主に対してジェフグルメカード1万円分を贈呈する。

■株価は調整一巡

 株価は2月の高値圏から反落し、その後は一本調子に水準を切り下げる形となって軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。5月29日の終値は1067円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS76円06銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS293円96銭で算出)は約3.6倍、そして時価総額は約189億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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