オラクル株急落に見るAIバブルの危機!?

2025年12月22日 17:54

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●オラクル株が急落

 IT大手のオラクルが12月10日に発表した四半期業績見通しは、予想を下回った。データセンターなどの年間支出が150億ドル(約2兆3250億円)増えるとの予想で、財政不安への懸念もあり、株価が10.8%下落した。

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 9月10日に史上最高値を付けていたが、そこから46%(12月22日時点)も下落している。

 AIハイパースケーラーのコアウィーブも最高値から60%超株価が下落するなど、AIバブルに陰りが見え始めている。

●オラクルとは?下落の原因に債務問題?

 オラクルはデータベース製品の世界最大手企業であり、データ分析ツール、ミドルウェア、業務用パッケージ開発・販売などを行っている。

 データベース管理システム(RDBMS)の分野で世界をリードしている。

 創業者で元CEOのラリー・エリソン氏は、9月には世界長者番付でイーロン・マスク氏を抜き一時1位になった。

 今回の下落に拍車をかけたのは、ブル―・アウルキャピタルがオラクルによる100億ドル(1兆5500億円)規模のミシガン州データセンタープロジェクトの資金調達から撤退したとの報道だった(オラクルは否定)。

 債務不履行リスクを示すCDSスプレッドが上昇しており、モルガン・スタンレーの予想では2028年会計年度までに純債務が2900億ドル(約45兆円)まで膨らむと見られている。

●リスクが顕在化してきた?

 AIバブル崩壊の可能性上昇と結論付けるには、早計ではある。支出増やCDSの上昇などは、オラクル以外のAI関連企業にも当てはまるわけではない。

 この数年、AI関連企業なら“無敵”とも思えるほど、AI関連銘柄が買われており、将来への先行投資として熱狂に近い状態だった。

 しかし今回オラクルの第2四半期売上高が予想に届かなかったことなど、業績が前年を上回っていても、株価が下落することが顕著となった。投資家からのハードルが上がっている。

 これからは投資家からも収益の面でも、厳しい目が向けられることになりそうで、将来への先行投資という段階は過ぎたのかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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