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地域新聞社:ウルフパックによるプロキシーファイトの現経営陣続投は極めて異例
*10:10JST 地域新聞社:ウルフパックによるプロキシーファイトの現経営陣続投は極めて異例
11月10日に「当該株券等取得者等と当該他の株主との間にその一方が他方を実質的に支配し若しくはそれらの者が共同ないし協調して行動する関係を樹立するあらゆる行為(いわゆる共同協調行為、ウルフパック戦略)」を行われている疑いがあると発表した地域新聞社<2164>の株主総会は、11月30日に開催された。共同歩調による緊急動議の動きがあったものの、現経営陣の続投が決定した。否決された議案は、特別決議によるもので、会社の重要な事項を決める際に、普通決議よりも厳しい要件(出席株主の議決権の過半数出席に加え、出席議決権の2/3以上の賛成)で承認を得るための決議方法であるため、そこまでの議決権上積みはできなかった格好だ。
第1号議案:定款一部変更の件(否決、特別決議)
第2号議案:取締役5名選任の件(原案のとおり承認可決)
第3号議案:監査役1名選任の件(原案のとおり承認可決)
第4号議案:資本金及び資本準備金の額の減少の件(否決、特別決議)
第5号議案:今後の戦略に関する基本方針の件原案のとおり承認可決)
第6号議案:当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収への対応方針)の更新の件原案のとおり承認可決)
ウルフパック戦略と想定される動きを阻止できたことは異例。10月末に株式分割が実施され、株主名簿が締まっていたという偶然はある。ただし、現経営陣が予め今後の戦略に関する基本方針を前回の株主総会に上程して承認されていたこと、こちらも予め買収防衛策が策定されていたこと、株主との個別対話を株主総会までにしっかり実施できたいたことなどが寄与した格好となった。
動きが公になった以上、一気に経営権を奪取してしまうような動きは、難しくなったといえる。一方で大口の保有株式がどのように処分されるのかが、多くの投資家にとって気になる状況となろう。同社では従来より、(千葉県の)企業が地域新聞社と株式を交換することで事業承継をスムーズに進める地域創生プラットフォーム構想(文化放送主催「中小企業ビジネス&イノベーションアワード2025」にてネクストヒーロー賞=次の時代の大きく飛躍しそうな社に贈られる賞を受賞)を提唱している。この構想が推進される過程で、大口の保有株がスムーズに移行することが最良なシナリオとなろう。
余談になるが、株主総会における委任状を株主に打診する過程で、株主の一部が証券口座のフィッシング詐欺事案に関係していることも発覚したようだ。つまり、当該投資家が知らないうちに地域新聞社の株主になっていたということだ。当該投資家は現経営陣に委任状を渡しているため、ウルフパック側との関連は認めらないが、証券市場の様々な問題が凝縮された案件となった。《NH》
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