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日経平均株価は、2026年に6万円を超えるのか

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●トランプ関税で下げ、高市トレードで上がった2025年の株式相場
2025年の株式相場も取引が最終盤に差し掛かっている。2025年の日経平均株価225種(以下、日経平均)は、トランプ関税による輸出企業の業績悪化懸念から4月7日に3万792円74銭の年初来安値まで売られた。
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その後日米間で関税の税率引き下げ交渉がまとまったことから上昇トレンドとなり、高市政権発足後の11月4日に5万2,636円87銭の史上最高値を付けた。いうまでもなく、高市早苗首相の積極財政への期待からだ。
まさに2025年はトランプ関税で下げ、高市トレードで上がった相場といえるだろう。
●2026年に日経平均6万円超えはあるのか?
次の注目点は、2026年の相場で日経平均6万円が実現するか否かだろう。2025年が安値から高値まで約2万2,000円上げたわけだから、高値から6万円までさらに8,000円程度上げることは十分可能であるようにも思える。
専門家の見解としては、三菱UFJモルガンスタンレー証券の宮本諭ウェルスマネジメントリサーチ部長がメディア向け勉強会で見通しを発表しており、楽観シナリオでは2026年9月末で6万1,000円に到達するとしている(Quick Money World報道)。
あくまで楽観シナリオではあるが、可能性はあるという見方だ。
●超えるケースはウクライナ和平実現とGDPの大幅増
高市トレードで一気に5万円台に乗せた日経平均だが、慎重論としてここから6万円を超えるにはよほどのインパクトがないと、1年以内に到達することは難しいかもしれない。
超えるケースにおいて世界規模で考えられる要因は、ウクライナの和平実現だろう。ウクライナ問題が世界経済最大の懸念材料であることは間違いない。支援する各国の軍事費負担も大きい。
和平が実現して軍事支援が大幅に縮小すれば、各国はその分を経済対策に充てることもできる。建物やインフラの整備も必要になるから、日本企業も復興需要を取り込めるかもしれない。
一方国内要因では、高市内閣が掲げる「責任ある積極財政」が効果をあげて、GDP(国内総生産)の大幅な伸びとなって表れれば、株式市場も前向きに評価するだろう。
●超えないケースは日中関係の一段の悪化と為替・金利の急激な変化
超えないケースでの最大の要因は、日中関係の一段の悪化だ。中国政府はすでに国民に日本への渡航自粛を呼び掛けているほか、海産物の輸入停止や日本映画の上映中止などの措置をとっている。
解決に時間が掛かれば、インバウンド需要の減退や貿易額の縮小など日本経済に与える影響も大きくなるだろう。
それだけでなく、7日には中国軍機が航空自衛隊のF15戦闘機にレーダーを照射するという不穏な動きもあるので注意が必要だ。
もちろん、為替と金利の動向も大きな波乱要因になる。為替・金利の急激な変化は、空売りなどの投機的動きを呼びやすい。一時的に株価が急落する場面があることは十分に予想できる。
過度な円安が進めば、それが日銀の金融政策において利上げの判断に傾きやすくなることも考えられる。
ただし円高になればすべて好転するというわけではなく、急減な円高になると訪日外国人の減少や、輸出企業の業績悪化につながる。為替の動きはもろ刃の剣でもあるのだ。
●不透明要因が多く投資には慎重な判断が必要
日経平均が6万円を超えるか否かは、外部要因と国内要因によって決まることを述べてきた。
ウクライナ問題と日中関係に関しては、相手は独裁国家である。そう簡単にウクライナ和平や日中関係の改善が実現するとは思えない。
国内要因では高市内閣の経済対策がどこまでGDPを押し上げるか、具体的な数字が出るのを待つ必要がある。まだまだ不透明な要因が多いことを前提に、2026年の相場は考える必要があるだろう。(記事:丸山優太郎・記事一覧を見る)
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