スピンオフ上場のNE:比護社長が語った「3年後」に賭ける価値は

2025年11月24日 15:11

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上場に伴いリニューアルされたNEのホームページ(画像: NEの発表資料より)

上場に伴いリニューアルされたNEのホームページ(画像: NEの発表資料より)[写真拡大]

 NE(441A、東証グロース市場)。11月4日にHamee(3134、東証スタンダード市場)からスピンオフ上場した、株式市場の新顔。2007年にHameeで、「EC事業のバックヤード業務の煩雑化」への対応策として産声を上げた事業。EC店舗運営の効率化と自動化を支援するSaaSプラットフォーム:ネクストエンジンを展開している。

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 比護則良社長に話を聞く機会を得た。根っから意地悪な私は冒頭、こう切り出した。「株価は口ほどにものを言うとされる。NEのこの間の株価動向をどう認識しているのか。公開公募価格750円に対し公開初値750円。直後に841円まで買われたが今日の時価は600円台前半。どう受け止めているか」。

 株価は市場が決めること。経営者が口をはさむ範疇ではないことは百も承知で冒頭に振った。が比護氏は、真正面から受け止めてくれた。「ここからです。3年先を見据えている」と返してきた。具体的に「株主還元策として配当性向30%メド、総還元性向40%以上」とした。

 それだけのキャッシュを手元に積む、というわけだ。「そこまで明言する背景は・・・」とたたみかけた。比護氏の説明は実に丁寧、かつ明快だった。要点を記すと、こんな具合になる。

 *「EC市場は、今後とも拡大する」。

 *「現状のネクストエンジンの累計契約社数は6600社以上。年間の流通総額は1兆1800億円。が、大手資本はネクストエンジンに対し食指を動かさない。少額の契約料に魅力を覚えられないからだ」。

 *「ほぼ無風状態の中で、契約企業に対しネクストエンジンの魅力(パワーアップ・エコシステムetc)を積み重ねていく。契約社数の増加が進む」。

 *「こうしたホップ・ステップはHamee時代に実感している。スピンオフ上場直前で、ネクストエンジン事業の営業利益はHamee全体の40%超を占めるに至った」。

 説得力を覚えた。「とくとお手並み拝見」とするのが、精一杯だった。

 上場直前の10月、楽天ロカルコストアの「月間優秀ショップ賞」を受賞している。NEは地域貢献施策として、伝統工芸品(企業)などを取り扱うECサイト(ロカルコストア楽天市場店)を運営している。受賞対象は、上位1%の店舗。受賞の意義は大きい。全国の当該企業を惹きつける、更なるパワーとなるからだ。

 実は取材当日は口にしなかったが株式市場には、こんな経験則も語り継がれている。
 「小さく生まれて大きく育つ」。比護氏の「公言」を受け入れるのなら、「3年後を待ってみる」のも一法か・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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