三井住友FG、過去最高益を再び更新へ 株価の行方は?

2025年11月21日 13:14

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 三井住友フィナンシャルグループ(FG)が11月14日に発表した26年3月期第2四半期累計(4~9月)決算で、連結最終利益が9335億円となり、前年同期比28.7%増と大きく伸びた。国内外の貸出収益の改善に加え、手数料ビジネスや市場部門が堅調だったことが寄与し、メガバンクの中でも存在感を改めて示す結果となった。

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 併せて通期の最終利益予想も、従来の1兆3000億円から1兆5000億円へと上方修正された。増益率は10.4%増から27.3%増へと跳ね上がり、3期連続の最高益更新見通しをさらに上積みする形となる。修正後の見込みを基にすると、下期(10~3月)の最終利益は5664億円となり、前年同期比25.1%増のペースで推移する計算だ。

 業績好調を受け、株主還元も強化される。年間配当は従来計画の136円から157円へ増額され、増配姿勢を明確にした点にも投資家から注目が集まる。中でも7~9月期の動きは顕著で、第2四半期(2Q)の最終利益は5566億円と前年同期比57.3%増を記録。メガバンク全体が追い風を受ける中でも、三井住友の決算は際立って強いものだった。

■高収益の裏で進む構造改革

 三井住友FGは高い収益を確保する一方、構造改革を本格化させている。特に象徴的なのが、店舗削減の加速だ。デジタルシフトの進展により、来店数は年々減少しており、同社はその流れを前向きに取り込む形で店舗網の再編を進めてきた。ここ数年は店舗統合や有人拠点の縮小を急ピッチで進め、人員配置や業務プロセスの見直しにも踏み込むなど、固定費削減と効率化の両立を図る姿勢が鮮明だ。

 市場では、日銀の金利政策が正常化へ向かうかどうかが注視されており、「メガバンクの業績拡大はどこまで続くのか」という声もある。金利上昇は銀行にとって追い風となる一方、国内景気の減速リスクや不動産市況の変動など、先行きの不透明感も残る。

 それでも三井住友FGは、高収益とコスト最適化を同時に進めながら利益成長を実現しており、経営の安定感はむしろ増している。市場の環境変化を受け止めつつ、構造改革を継続できるかが今後の焦点となり、投資家の視線は一段と鋭さを増している。

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