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活況見せるオリオンビールのIPO
●オリオンビールが株式上場
沖縄の大手ビールメーカー・オリオンビールが、9月25日に東証プライムに新規上場する。仮条件は当初想定価格770円を上回る800円~850円で、公開価格は上限の850円で決定した。
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売り出し規模も269億円に拡大し、英系ファンドもオリオンビール株の大量取得に関心を表明するなど、注目度が高い。想定時価総額は380億円程度とみられる。
沖縄に本社を置く製造業としては、東証プライムへは初の上場となり、株主優待なども人気が出そうで、投資家からの期待は高まっている。
●ビール製造だけではないオリオンビール
1957年に具志堅宗精氏が沖縄ビールとして創業。1959年6月からオリオンビールの社名で営業している。「オリオン」の名は県民からの公募で決まった。
沖縄県内では圧倒的な販売シェアを持つ。2002年からアサヒビールと業務提携し、ライセンス製造を含め、8割のシェアを持つ。沖縄だけでなく、県外はもちろん、台湾・韓国・米国など海外へも輸出している。
売上高の構成比はビール製造を含めた酒類清涼飲料事業が約8割、観光・ホテル事業が約2割となっている。
2025年7月にオープンした大自然をテーマにしたテーマパーク「ジャングリア沖縄」の出資企業であり、パーク内ではオリオンビールだけでなく、沖縄ならではの飲料を提供している。
ロゴを活用した知的財産事業も伸ばしており、若者を中心にロゴ入りTシャツなどのオリオングッズが人気だ。グッズの販売総額は、2025年3月期までの2年間で3倍に拡大している。
●オリオンビールが目指す上場後
オリオンビールは、野村ホールディングスとカーライル・グループの傘下で、成長を目指している。2019年の買収時から、上場は既定路線だった。
沖縄の観光全体もコロナ禍からの急速な回復を見せており、2024年度には国内客は過去最多を更新し、外国人も含めた全体の入域観光客数も1000万人近くに達した。
観光事業の活況はビール類の売上に貢献するだけでなく、観光・ホテル事業にも大きく貢献する。
オリオンビールの村野社長は、「上場によって、オリオンビールに対する信用、信頼が醸成される」と期待を寄せ、「輸出や知財が成長ドライバーに」と語っている。
上場によって、県内だけでなく、県外・海外でもホテルなどの観光事業を強化し、若者に人気な「オリオングッズ」などの知財部門も販売を拡大し、世界でも存在感を示す企業になり得るだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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