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ソニーによる日本初パーシャルスピンオフ、今後の影響は?

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●ソニーFGが日本初のパーシャルスピンオフで上場
ソニーグループは8日、金融子会社のソニーフィナンシャルグループ(FG)が、東京証券取引所からの上場承認を得たことを発表した。ソニーFGは、9月29日に東証プライム市場へ上場する。
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同時に、ソニーの株主にソニーFGの株式を現物配当するパーシャルスピンオフの制度を採用することも発表している。
ソニーFGは上場子会社だったが、2020年8月31日にソニーが完全子会社化し、上場廃止としていた。
今回、パーシャルスピンオフを採用し、再上場する意味はどこにあるのか、また今後、日本でもこの制度は広がるのだろうか。
●2023年に法改正で採用可能に!
パーシャルスピンオフは、企業が自社の一部門や子会社を切り離して独立(スピンオフ)させ、親会社に持ち分を残す手法である。つまり、資本関係を保ったまま子会社を上場させられる。
2023年度の税制改正で、新たにパーシャルスピンオフ税制が創設され、一定の要件を満たせば、譲渡益や配当への課税がされなくなる。2023年から2024年までの1年間の特例だったが、2024年度の税制改正で4年間延長された。
●ソニーにとってメリットは?ソニーに続く企業も!?
ソニーとしては、IP・コンテンツ事業などの成長が見込めるコア事業に経営資源を集中したいという思惑がある。
ソニーFGにとっても、切り離し・上場によって、独立性を確保し、柔軟な経営判断が可能になる。
税制優遇によって、親子会社双方は株式分配による税負担を軽減できる。投資家にとっても税負担を軽減できるだけでなく、双方に投資できるメリットがある。
ただこの制度は、親会社が業績悪化などで株価が下落すると、子会社が影響を受けやすいデメリットもある。
ソニー以外の企業では、総合化学メーカー大手のレゾナックHDが2025年1月に石油化学事業をケラサスケミカルとして分割し、パーシャルスピンオフとして株式上場を目指す準備を進めている。
欧米では積極的に進められており、米国では年間20~30件ほどの事例があり、株価も好調だ。
ソニーによる今回の上場の行方が、パーシャルスピンオフの日本定着にとって、大きな試金石となりそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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