巨額赤字で苦境! インテルの復活はあるのか?

2025年8月27日 09:56

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●米政府・ソフトバンクが相次いで巨額出資

 米政府が米半導体大手のインテルに89億ドル(約1兆3000億円)を出資する。18日にはソフトバンクグループがインテルの株式を20億ドル(約2888億円)分取得する契約を結んだ。

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 米国は出資金によって、約10%の株式を取得することになる。ソフトバンクは今回の出資で2%取得することとなり、6番目の大株主となる。

 苦境が続いていたインテルだが、米政府とソフトバンクによる巨額出資によって、復活することができるのだろうか?

●巨額赤字のインテル

 インテルは、6四半期連続で赤字を計上するなど、苦境が続いている。ドイツやポーランドでの新工場建設を白紙に戻し、2025年末までに2万人のリストラを敢行せざるを得ない状況だ。

 長らく半導体をリードしてきたが、生成AI向けの半導体でNVIDIA(エヌビディア)などに大きく後れを取り、微細化の技術にも出遅れ、後塵を拝している。

 パソコン向けの半導体には強みがあったものの、コロナ特需からの反動で需要が伸び悩んでいる。

 受託製造の分野でも、台湾半導体大手TSMCに大きく水をあけられており、過剰な設備投資も裏目に出た。

 開発と製造の垂直統合を目指したが、開発ではNVIDIAに、製造ではTSMCとの競争に敗れているという「どっちつかず」との指摘がある。

●復活はあるのか?トランプ氏・孫氏の思惑は?

 インテルは、ファウンドリー事業(受託製造)を軌道に乗せることが求められる。トランプ米大統領からすれば、米国内に製造拠点を戻し、雇用を回復させたいという狙いがある。

 もし経営がうまくいかないなら、米政府が筆頭株主となり、経営陣の交代を要求することなどもあり得る。

 AI革命を掲げるソフトバンクは、傘下の英国Armに続き、自社で半導体開発を担うため、インテルの生産能力は魅力である。

 設計のArmと製造のインテルという役割分担を目論んでの、孫氏の投資かもしれない。

 ただインテルは、TSMCにとってのアップルのような大口顧客が必要となる。いくら出資金の追い風があっても、新規大口顧客が見つからないと苦境は続く。

 まだまだ復活への道は険しい。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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