地球自転周期の不規則変化、その原因を解明 南カリフォルニア大学

2022年6月16日 11:05

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 地球の自転周期は不規則に変化している。その証拠に”うるう秒”は1972年に初めて導入され、2021年までに合計27回にわたり実施されているが、その周期は一定ではなく、非常に不規則だ。なぜこのように1日の長さが不規則に変動するのかは、従来厳密な説明ができない状況にあった。

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 南カリフォルニア大学は、地球の内核が地球の自転とは微妙に異なる挙動を示し、それが地球の自転周期を不規則に変化させる原因となっていることを明らかにした。研究の成果は6月10日付けで「Science Advances」で公開された。

 地球の内核は、地球中心の半径約1200km以内の部分となり、鉄やニッケルなどの固体でできていると考えられている。内核は直接観測することができず、その形状も厳密にはよく分かっていないが、球形ではなく不規則形状であると推定されている。

 南カリフォルニア大学の研究者らは、1971年から1974年にかけて実施された旧ソ連の地下核実験時の地震波分析により、内核の挙動を調査。この期間においては、内核は地球の自転よりも0.29度速く回転していたことを突き止めた。またその後、1969年と1971年の2度にわたり実施された米国の地下核実験時の地震波を解析し、この期間には内核は地球の自転よりも0.1度遅く回転していたことを確認した。つまり1971年に内核の自転挙動に逆転現象が起きていたのだ。

 これらの解析結果を通して、6年周期で地球の内核の自転が振動していることが裏付けられた。さらにこの地球の内核自転の6年周期モデルによって、過去数十年間にわたって起こっていた1日の長さの変動を説明することができると研究者らは主張している。

 現在では米ソの核開発競争が終わり、地下核実験の地震波解析による内核挙動調査はできなくなった。今後は、いつどこでどのような規模で起こるか分からない地震を頼りにして研究を進めるしかない。

 1日の長さの不規則変動を正確に予測するためには、より多くの地震のデータを蓄積していくしかないが、大地震が頻繁に起きるのは困りものだ。気長に研究成果が出るのを待つしかないだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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