GMO、仮想通貨マイニング専用半導体チップを試作 今年の実用化近づく

2018年1月24日 15:07

印刷

12nmFFCプロセス技術を用いたマイニングチップによるマイニングボード(写真:GMO発表資料より)

12nmFFCプロセス技術を用いたマイニングチップによるマイニングボード(写真:GMO発表資料より)[写真拡大]

 GMOインターネットは22日、欧州法人を通じて展開する仮想通貨の採掘(マイニング)事業において、12nmFFCプロセス技術を用いたマイニング専用チップを開発したと発表した。

【こちらも】GMO、ビットコイン採掘事業を開始へ 欧州にマイニングセンター設立

 GMOは「次世代マイニングボード」を実現するべく、半導体設計技術を持つパートナー企業とともに、最先端の7nm(1nmは10億分の1メートル)FFC(Fin FET Compact)プロセス技術を用いた半導体チップの研究開発を進め、2018年上半期中の投入を目指す。

 今回の発表は、12nmFFCプロセス技術を用いて、マイニング専用チップを開発したこととマイニングの暗号化アルゴリズムの論理回路検証を完了したことであり、重要なマイルストーンを通過したことを意味する。

●仮想通貨のマイニングとは

 仮想通貨(ビットコイン)は、インターネット上のお金である。円やドルといった国家が保証するお金間の取引には、換金という手数料を伴う手続きが必要だ。

 一方、仮想通貨はインターネット上で取引であり換金の必要がない。つまり、仮想通貨で取引する限りは、換金の手数料も不要。国境のない新たな経済圏の実現だ。

 では、仮想通貨の価値を誰が保証しているのか。それは、取引記録によって保証する。取引記録を一定期間ごとに一つのブロックにまとめ、チェーン(鎖)のようにつなげて保管していくブロックチェーン技術を基盤とする。

 世界中の仮想通貨の取引データは、世界中にいる採掘者によって、一定時間の取引データを1つにまとめた「ブロック」を競うように生成。ブロックの生成は、取引台帳の記録と新しい取引データの整合性を取りながら正確に行う。

 そのブロックを生成した発掘者には報酬として仮想通貨を支払うルールだ。この一連のプロセスをマイニング(仮想通貨の採掘)といい、これによりデータの改ざんを防ぎ、健全性・安全性を保つ。

 仮想通貨の価値が高ければ、このマイニングによる儲けは青天井であり、金の採掘と等しい。当然ながら、仮想通貨の価値が低くなることも有り、投資リスクは高い。

●仮想通貨(GMO、マイニング専用チップ)のテクノロジー

 マイニング事業には、高度かつ膨大な計算処理が可能なコンピューターと、その稼働と冷却を行うための安定した電力の確保が必要という。

 再生可能エネルギーの豊富な北欧にマイニングセンターを設置することで低電力を実現するのは、マイニング事業者の共通認識であるようだ。

 GMOは、次世代マイニングボードの開発によるコンピューターの高速化のみならず、低消費電力化を狙う。マイニングには高速性が、その維持には電気料金の低減が求められる。

 マイニング事業の中には、次世代マイニングボードの販売も計画している。仮想通貨のビジネスモデルは試行錯誤を経て進化していくのであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事