JR東日本と三井物産、英国で旅客鉄道事業を開始 2026年まで運営権

2017年12月15日 15:40

印刷

 JR東日本と三井物産は、英国のアベリオUK社と共に、英国旅客鉄道運行事業フランチャイズの一つであるウェストミッドランズ旅客鉄道事業の運営権を英国運輸省より獲得、2017年12月11日より事業を開始した。中部バーミンガムでは11日、運行開始を祝う式典が開かれ、関係者が駅のホームに集まり新しいデザインの列車を出迎えた。

【8月に受託が決定】JR東日本と三井物産、英国で鉄道運営業務受託へ

 JR東日本、三井物産、アベリオUKの3社はコンソーシアム(共同事業体)を組成、この事業への参画に向けて受注活動に取り組んできた。コンソーシアムは2016年11月に入札。2017年8月に受注通知を受け、英国運輸省と連携し12月からの本事業開始に向けて準備を進めてきた。

 英国は民間企業が旅客鉄道運行事業の運営を担うフランチャイズ制度をとっている。各路線の運行事業者は地域ごとに分けられており、英国運輸省が行う入札によって決定される。

 コンソーシアムが目指した今回の事業では、ロンドンへの通勤路線であるロンドンからリバプールまでをつなぐ長距離路線と、バーミンガムの都市圏輸送を担うもの。この路線は年間の乗客数は7360万人にのぼる。この入札で2026年までの営業権を獲得した。

 この事業の運営だが、英国運輸省から要請のあった新車両を導入し、輸送力増強やロンドン・バーミンガム周辺の通勤混雑緩和を図るほか、利用客への情報提供や輸送安定性の強化など、サービス品質向上などの実現を目指す。駅や車両、それに従業員などは前の事業者から引き継ぐも、具体的にはラッシュ時の混雑緩和や列車の遅延を減らすため、今後、およそ1500億円をかけて新型車両の導入や施設改修を進める予定だ。

 この事業は、JR東日本・三井物産の両社が共同で海外鉄道事業の運営に取り組む初めての事案となる。特にJR東日本が海外鉄道運行事業に参画するのは初めて。三井物産としても英国イーストアングリア(East Anglia)旅客鉄道運行事業に続き、英国内2路線目となった。

 JR東日本は、新事業領域への挑戦として、海外鉄道プロジェクトへの参画を目指しており、本事業のほかにも海外でのプロジェクトへ乗り出している。タイ・バンコク都市鉄道パープルラインへの鉄道車両の供給と車両・地上設備等のメンテナンス業務への参画、インド高速鉄道プロジェクトへの技術的支援などがそれだ。

 今回の英国における品質の高い鉄道運行の実現によって、こうした海外の鉄道事業発展への参画が期待される。(記事:M_imai・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事