ダイキン工業、空調冷凍機事業のグローバル展開で8期連続増収増益に挑む

2017年11月13日 07:08

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 ダイキン工業は7日、上期(4-9月期)の決算を発表し、併せて今期見通しの上方修正を発表した。これにより、8期連続の増収増益、5期連続の過去最高益を達成する見込みである。

 ダイキン工業は1924年山田晁によって創業され、世界各国に拠点を設け、空調・冷凍機事業を主体に世界約150カ国に展開し、売上高の海外比率は76%に達している。グローバル開発体制を加速し、技術の更なる高度化と差別化商品の開発を促進するダイキン工業の動きを見ていこう。

■前期(2017年3月期)実績を空調冷凍機事業がけん引

 前期実績は、売上高2兆440億円(前年比100%)で営業利益は2,308億円(同106%)であった。

 営業利益は、海外比率76%で前年に比較して大幅な円高(1ドル120→108円、1ユーロ133→119円、1元18.9→16.1円)による為替の影響額370億円、固定費の増加額280億円の悪化要因を、主要各地域(日本・米州・中国・アジア・欧州)での営業力の強化、高付加価値商品の積極投入による拡販399億円とグローバル調達を中心としたトータルコストダウン320億円などによりカバーして、前年比129億円の増益を確保した。

■今期(2018年3月期)見通しの上方修正

 上期の好調な実績を受けて今期見通しを、売上高は当初計画よりも800億円増加の2兆2,700億円(同111%)、営業利益は70億円増加の2,500億円(同108%)に上方修正した。

 営業利益は、固定費の増加360億円、原材料の高騰300億円の減益要因を、グローバル販売力強化と高付加価値商品の拡販482億円などでカバーし、前年よりも192億円の増益を見込む。

■中期戦略計画(2015~2020年)で売上高3兆円に向けて重点戦略の推進

 2020年(2021年3月期)の目標売上高3兆円推進のため、空調冷凍機事業など既存事業の強化と新分野事業の開発のため次の戦略を推進する。

 1.北米空調事業
 2012年に買収した空調大手グッドマン社の新工場を来年稼働し、空調技術開発センターの強化と北米R&Dセンター新設、最先端技術の取り込みを目指したシリコンバレーオフィス開設を行う。

 2.アジア空調事業
 空調需要の拡大に備え9月にタイのコンプレッサー工場、10月にはインドのエアコン工場を増設。来年にはマレーシアに空調関連工場、ベトナムで新工場を着手。現地市場ニーズ商品の開発と都市部から地方への拡販を目指す。

 3.化学事業
 コスト競争力を強化し、電気自動車関係を強化。8月にイタリアのフッ素樹脂コンパウンドメーカーへフロン社の買収を決定し、幅広い分野で欧州事業を強化する。

 4.新分野事業として暖房・給湯事業、エネルギーソリューション事業
 欧州の環境規制の高まりを受けヒートポンプ暖房を中心とする暖房給湯事業の強化、トルコでは買収したエアフェル社を拠点に燃焼暖房を推進、エネルギーソリューション事業は現地のサービス会社・エンジニアリング会社の買収によりサービス網の基盤づくりを加速する。

 グローバルに生産・開発・販売体制を強化し、地道に実績を積み重ねていくダイキン工業の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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