世界初、欧州自動車が進める48V電源に対応した最先端電源ICを開発 ローム

2017年4月30日 20:08

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

テクノフロンティアで世界初披露、「Nano Pulse ControlR」搭載、電源IC

テクノフロンティアで世界初披露、「Nano Pulse ControlR」搭載、電源IC[写真拡大]

 今年で35回目を迎えた「テクノフロンティア2017(TECHNO-FRONTIER 2017)」が、千葉市美浜区の幕張メッセを会場に、4月19日から3日間開催された。

 このテクノフロンティア2017は、モーターやアクチュエーターなどの「モーター技術展」をはじめ「電源」「ノイズ対策」など、9分野のメカトロニクス、エレクトロニクスの要素技術、製品設計を支援する部品などの最新技術展である。

 その中で、京都の半導体メーカー、ローム<6963>は得意分野のアナログ技術を駆使して実現した「Nano Pulse ControlR」テクノロジーをはじめて搭載した最先端電源ICを展示していた。この電源ICは、2MHz動作で48Vの電圧を3.3Vまで1段で変換できる画期的な製品だという。

 これまでもロームは電子機器メーカーの開発要求に応える格好で、さまざまなスイッチング電源ICを開発してきた。電子機器の要求で電源ICの形状変化・微細化が進んだのはもちろん、回路設計にも大きな変化・進化がおきている。

 そんなかで注目すべきは、車載電源の48V化が大きく進むとみられる欧州自動車メーカー主導のマイルドハイブリッド車の普及だ。現在、日本で主流のハイブリッド車は250Vの駆動用バッテリーを搭載し、250V⇒12V⇒3.3Vと、2段階の降圧によって3.3Vまで電圧を落とし、ECUなどを動かしている。

 欧州勢が進めるハイブリッドのマイルド化のメリットは、48V化によって電池も駆動用モーターも小型軽量化でき、航続時の省燃費に大きく貢献すること。ただ、この48Vの電力を250V利用の際と同じように2段降圧していたのでは効率が悪く、スペースも必要になる。今回、制御技術「Nano Pulse ControlR」を使った電源ICを開発した。

 ただ、48Vを直接電源ICで受けるのは簡単ではなかったという。なぜなら、48Vバッテリーの“電圧の揺れ”は、かなり大きく、入力上限60V程度まで上がる。こんな要求を満たす電源ICは世界に存在しなかった。そこでロームは、パルスを可能な限り細くして制御する技術を開発した。それが「Nano Pulse ControlR」なのだ。このNano Pulse ControlRによって電源ICのワンチップ化と省スペース性を実現したわけだ。

 Nano Pulse ControlRを搭載した最初のローム製品は「BD9V100MUF」である。この秋から量産体制に入る予定だという。ターゲットは48V電源を使う電子機器すべてで、マイルドHVはもちろん、無線基地局やカメラなどのシステム電源にもおよぶ。現状ではNano Pulse ControlR を“降圧”に利用したが、将来的には“昇降圧”にも活用するとしている。今後の最先端の製品、それらを搭載したアプリケーションの進化に期待したいところだ。(編集担当:吉田恒)

■関連記事
ローム、生産工程IoT化、“工場の見える化”の簡便な構築法をテクノフロンティアで展示
「テクノフロンティア2017」開幕、ますます進化するドローン
容量がリチウムイオン電池の15倍のリチウム空気電池開発 電気自動車でガソリン車並みの走行距離が
洋上風力発電し易くなるようガイドライン整備を
床ずれ防止のために体圧センサーを内蔵したエアマットレス製品化……住友理工

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事