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【相場展望】1週間を通して見れば重要イベント通過で買い戻し優勢の可能性
【来週(6月18日~22日)の株式市場見通し】
■政策対応への期待感も支援材料
来週(6月18日~22日)の日本株式市場については、17日のギリシャ再選挙の大勢が日本時間18日早朝に判明するため、その結果次第となり、緊縮財政反対派が勝利した場合には売りが優勢となる場面もありそうだが、実質的には再選挙の結果に対する海外市場の反応待ちのスタートだろう。
ただし、緊縮財政反対派が勝利することに対する警戒感は、ある程度は織り込み済みであり、1週間を通して見ればギリシャ再選挙の結果にかかわらず、重要イベント通過でアク抜け感が強まり、買い戻しが優勢となる可能性が高いだろう。
ギリシャ再選挙では、緊縮財政支持派が勝利すればユーロ圏離脱が避けられるとして当面の安心感につながるだろう。一方で、緊縮財政反対派が勝利すればユーロ圏離脱の可能性が高まるとして当面は警戒感につながるだろう。ただし、緊縮財政支持派が勝利してもすぐに財政問題が解決するわけではなく、緊縮財政反対派が勝利してもすぐにユーロ圏を離脱するわけではない。どちらが勝利しても連立政権の樹立と運営は容易ではなく、緊縮財政緩和に向けてのEUやIMFとの交渉も行われることになり、今後しばらくの間は不安定な状況が続くことになる。
一方ではECB(欧州中央銀行)、イングランド銀行(英中央銀行)、日銀など世界の主要中央銀行が、ギリシャ再選挙後の金融市場の混乱に備えて協調資金供給する用意があると表明したことが安心感につながっているため、ギリシャ再選挙の結果にかかわらず、一旦は重要イベント通過でアク抜け感につながる可能性が高いだろう。
さらに18日~19日のG20首脳会議では、ユーロ圏債務危機問題への対応が主要議題になるため支援材料となる可能性があるだろう。19日~20日の米FOMC(連邦公開市場委員会)での追加緩和期待も高まるだろう。
その後の20日~21日のECB理事会(金利発表なし)、21日のユーロ圏財務相会合、22日のフランス・ドイツ・スペイン・イタリア首脳会議、EU財務相理事会、28日~29日のEU首脳会議などに対する思惑も注目点となり、政策対応への期待感が支援材料となりそうだ。
前週の主要国・地域の動向を簡単に整理すると、スペインの銀行救済手法を巡ってスペイン政府の財政負担が増すとの警戒感が広がり、14日には一時スペイン10年債利回りがユーロ導入後初めて7%台に上昇する場面があった。しかし、ロイターが「ギリシャ再選挙後の混乱に備えて世界の主要中央銀行は流動性供給対策を講じる用意がある」と報じたことが安心感につながった。
15日には、ECB(欧州中央銀行)ドラギ総裁の「必要なら支払能力のある銀行に引き続き流動性を供給する」との発言を受けて、ギリシャ再選挙の結果にかかわらずECBが追加利下げや長期資金供給オペを実施するとの期待が強まった。またイングランド銀行(中央銀行)は、信用拡大策の一環として実施する拡大担保タームレポファシリティー(ECTR)の初回入札を6月20日に行うと発表した。
米国では、13日の米5月小売売上高、14日の米週間新規失業保険申請件数、15日の米6月ニューヨーク州連銀製造業景気指数、米6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値など、主要経済指標概ね低調な内容となり、FRBの追加緩和に対する期待感が強まった。
中国では9日~10日に主要経済指標が発表され、5月CPI(消費者物価指数)、5月工業生産、5月小売売上高が低調な結果となり、景気減速が警戒された。5月貿易収支は4月を上回り市場予想も上回ったが、1~5月累計では11年に比べて減速感が強く、金融緩和が継続するとの見方が優勢のようだ。
日本では、14日~15日の日銀金融政策決定会合で現行の政策金利据え置きを決定し追加緩和を見送った。市場の予想どおりの結果だった。
外国為替市場は概ね小動きだった。12日にはIMF代表団の「中期的に見て円は過大評価」との声明で円売りがやや優勢になる場面があった。15日の日銀金融政策決定会合での追加緩和見送り後には、円買いがやや優勢になる場面もあった。15日の海外市場では、世界の主要中央銀行がギリシャ再選挙後の混乱に備えて協調資金供給する用意があると表明したことを受けて、ユーロ買い戻しが優勢になった。15日の海外市場で終盤は1ドル=78円70銭~80銭近辺、1ユーロ=99円50銭~60銭近辺だった。
■注目スケジュール
来週の注目スケジュールとしては、国内では18日の5月首都圏マンション発売戸数、19日の4月景気動向指数改定値、20日の5月貿易統計、日銀金融政策決定会合(5月22日~23日分)議事要旨などがあるだろう。
海外では、17日のギリシャ再選挙、18日の中国5月新築住宅価格、米6月住宅建設業者指数、18日~19日のG20首脳会議、19日の豪中銀理事会議事録、独ZEW景気期待指数、英5月消費者物価指数、米5月住宅着工件数、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、19日~20日の米FOMC(連邦公開市場委員会)、20日のニュージーランド1~3月期GDP、独5月生産者物価指数、英金融政策委員会(6月分)議事録、ノルウェー中銀金利決定会合、米住宅ローン・借り換え申請指数、米FOMC声明と経済見通し発表、バーナンキ米FRB議長の記者会見、20日~21日のECB理事会(金利発表なし)、21日のユーロ圏4月経常収支、ユーロ圏6月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、ユーロ圏財務相会合、スペイン短中期債入札、米4月住宅価格指数、米5月中古住宅販売、米5月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、米6月フィラデルフィア地区連銀業況指数、米新規失業保険申請件数、米6月製造業PMI速報値、北米5月半導体BBレシオ、22日の独6月IFO業況指数、フランス・ドイツ・スペイン・イタリア首脳会議、EU財務相理事会などがあるだろう。
その後の注目イベントとしては、25日の独7月消費者信頼感指数、米5月シカゴ連銀全米活動指数、米5月新築一戸建て住宅販売、26日の米4月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米6月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、27日の米5月耐久財受注、28日の英1~3月期GDP確報値、米1~3月期GDP確報値、28日~29日のEU首脳会議、29日のユーロ圏6月消費者物価指数速報値、米5月個人所得・消費支出、7月2日の米6月ISM製造業景気指数、4日~5日の英中銀金融政策委員会、5日のECB理事会、6日の米6月雇用統計などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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