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米・イランの攻撃休止で原油急落、サウジ最後の輸出回廊にフーシ派の脅威

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米国とイランが週末に軍事攻撃を一時停止したことを受け、原油価格は数週間で最大の下落を記録した。しかし、イランによるホルムズ海峡封鎖の代替となっていたサウジアラビアの紅海側輸出ルートがフーシ派の攻撃を受け、供給懸念は払拭されていない。今週は米連邦準備制度理事会(FRB)とイングランド銀行(BOE)の政策金利発表が控えており、エネルギー価格の動向がインフレ抑制策に与える影響に市場の注目が集まっている。
■導入と原油価格の動向
米国とイランが週末に軍事攻撃を一時停止したことを受け、月曜日の原油価格は数週間で最大の下落を記録した。しかし、その安堵にはすぐに暗雲が立ち込めた。土曜日にフーシ派がジザンとヤンブーにあるサウジアラムコの施設を攻撃したためだ。5カ月前にイランがホルムズ海峡を封鎖して以来、サウジアラビアに残された唯一の輸出回廊が、この攻撃によって脅かされている。この不安定な戦闘休止は、世界の市場を左右する2つの重要な中央銀行の決定、すなわち水曜日の米連邦準備制度理事会(FRB)と木曜日のイングランド銀行(BOE)の金利発表を目前に控えたタイミングで始まった。
月曜日のロンドン市場序盤、北海ブレント原油先物は7%以上下落し、約1週間ぶりに1バレル90ドル(約1万4760円、1ドル=164円換算)を一時割り込んだ。その後、グリニッジ標準時(GMT)午前8時4分(日本時間午後5時4分)までに91.08ドルへとやや持ち直したが、前営業日比で5.70ドル、率にして約5.9%の下落となった。米WTI原油先物も約4.80ドル、率にして約5.4%下落し、1バレル84.51ドルとなった。両指標とも約1週間ぶりの安値となり、週末直前にブレント原油を1バレル100ドル超へ押し上げた上昇分の一部を打ち消した。
■和平ではなく一時停止
米軍は13夜連続の爆撃を実施した後、金曜日の夜遅くから正式な発表なしにイランに対する軍事作戦を停止した。イラン政府は、米国が攻撃を控える限り、自国の報復作戦も停止する意向を示し、その立場を「攻撃には攻撃を」と説明した。日曜日、マイク・ウォルツ国連大使はCBSニュースの番組「Face the Nation」で、トランプ大統領が「協議のための余地を設け」「外交に機会を与えている」と語る一方、追加の軍事資産が同地域に移動したことにも言及した。
しかし、市場は最近の経緯を踏まえ、警戒感を持って受け止めている。PVMのアナリスト、ジョン・エバンス氏は、この動きは永続的な解決ではなく「確実性に乏しい小規模な停戦」にすぎないと警告した。また、価格がさらに下落するのは、高値によって需要が抑制された場合に限られると指摘した。つまり、交渉で実現できなかったことを、需要の減退がもたらす可能性があるということだ。
こうした懐疑的な見方には根拠がある。4月8日に停戦が発表された際、ブレント原油は1営業日で最大15.9%急落した。しかし、その数日後には双方が互いに停戦違反を非難し、緊張が再燃した。7月8日にはトランプ大統領が停戦は「終わった」と宣言した。今回の一時停止は、米国の一部の弾薬備蓄を減少させた13夜にわたる激しい爆撃の後に実施された。ウォルツ氏自身も、米軍は「必要なものをすべて」保持していると強調しながら、備蓄の減少という要因を認めている。
■サウジアラビア最後の輸出回廊が標的に
たとえ一時停止が維持されたとしても、原油市場は外交だけでは短期間に解消できない構造的な供給制約に直面している。これこそが、月曜日の価格下落によって覆い隠されている中心的な事実である。
イランとオマーンの間に位置し、通常は世界の海上輸送原油の約5分の1が通過する幅21マイル(約34キロメートル)のホルムズ海峡は、事実上閉鎖されたままだ。Kplerの海運データによると、週末に同海峡を通過した商品輸送船は1日当たり10隻未満であり、2月下旬に紛争が始まる前の約100隻から激減している。MST Marqueeのアナリスト、ソール・カボニック氏は、「多くの海運業者が依然として警戒しており、空船を海峡へ進入させる前に安全性について、より強い確信を得たいと考えている。このため、ホルムズ海峡を通る輸送量が回復しても、そのペースは遅く、部分的なものにとどまる可能性が高い」と述べている。
ホルムズ海峡の封鎖に対し、サウジアラビアは東西パイプライン(ペトロライン)の輸送量を過去最高の日量700万バレルまで引き上げた。並行する天然ガス液(NGL)用パイプラインを原油輸送に転用する緊急措置であり、輸送量を確保する代わりにNGLの輸出収入を犠牲にした。サウジアラビア東部州から紅海のヤンブー港まで延びる全長1,200キロメートルのパイプラインは、一夜にして世界で最も重要なエネルギーインフラとなった。
そして、フーシ派がそこを攻撃した。
土曜日、フーシ派はジザンとヤンブーのサウジアラムコ施設に向けて弾道ミサイルとドローンを発射した。サウジアラビアの石油インフラに対する直接攻撃は2022年以来となる。NASAの衛星監視サービス「FIRMS」により、ジザンの製油所で火災が発生したことが確認された。ヤンブーでは、米国製の地対空ミサイルシステム「パトリオット」を運用するギリシャ軍関係者が弾道ミサイル2発を迎撃し、同港への被害を防いだ。ヤンブー港では7月13日時点で、過去最高となる日量470万バレルの原油が積み込まれていた。Kplerのデータによると、2026年6月にはサウジアラビアの海上原油輸出の92%をヤンブーが担っていた。
これが二重のチョークポイント(輸送上の要衝)の罠である。イランが2月にホルムズ海峡を封鎖したため、サウジアラビアは輸出する原油を陸路で紅海沿岸へ迂回させざるを得なくなった。その後、フーシ派がその沿岸を標的にした。東西パイプラインを経由してサウジアラビアから輸出される原油は、さらに、フーシ派が現在脅かしている紅海南端の幅18マイル(約29キロメートル)のバブ・エル・マンデブ海峡を通過しなければならない。両方のルートを同時に失う事態に歴史上の前例はない。
■寸断された複数の供給網
ホルムズ海峡とサウジアラビアの紅海回廊だけが寸断されたサプライチェーンではない。被害は複数の地域に同時に広がっている。アナリストによると、この広がりこそが今回の一時停止と4月の状況との違いであり、戦闘終了後も「供給網に残る傷跡」が原油価格を高止まりさせる可能性が高い理由だ。
7月19日、ウクライナのドローンが、ノボロシースク近郊にあるカスピ海パイプラインコンソーシアム(CPC)の黒海ターミナルでカザフスタン産原油を積み込んでいたタンカー2隻、ASIAとNISSOS IOSを攻撃した。7月21日までに4隻目のタンカーが攻撃を受け、タンカー運航会社が同ターミナルへの船舶派遣を拒否したため、CPCはカザフスタンからの原油受け入れを全面的に停止した。CPCはカザフスタンの原油輸出の約80〜90%、日量約148万バレルを輸送している。これは、別の紛争地域によって世界の原油生産量の約1%に相当する供給が市場から失われたことを意味する。
ウクライナ当局によると、ウクライナは週末にもロシアの石油施設を攻撃した。
ソシエテ・ジェネラルのアナリストは、紅海で問題が解決されない期間が1カ月延びるごとに、原油価格を1バレル当たり約10ドル押し上げると推定している。アジアの買い手は、サウジ産原油をスエズ運河経由やアフリカを回るルートへ振り替えており、航海日数が数週間延びるとともに、多額の追加コストが発生している。
国際海事機関(IMO)は、紛争開始以来、ペルシャ湾、ホルムズ海峡、オマーン湾で商船が関係する海事インシデントを52件以上記録している。イラン革命防衛隊の小型艇や対艦ミサイルが数十隻のタンカーを標的にしており、一部の船主は貨物をアフリカ回りへ迂回させている。このため、航海日数が数週間延び、多額の追加コストが生じている。人的被害も確認されており、少なくとも船員12人が死亡または行方不明となった。さらに、バーレーンでは港湾労働者1人が死亡し、アラムコ施設への攻撃ではサウジアラビアのエネルギー関連労働者1人が死亡、7人が負傷している。
■FRBとBOEの政策決定への影響
今回の原油価格の変動は、世界の金融政策にとって極めて重要な時期に起きた。住宅ローンを抱える人や、エネルギー企業の株式、金利の影響を受けやすい資産を保有する人にとって、そのタイミングは非常に重要である。
FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)は火曜日から2日間の政策会合を開き、水曜日の米東部時間午後2時(日本時間木曜日午前3時)に金利を発表する予定だ。FRBは6月の会合以来、政策金利を3.5〜3.75%に据え置いている。FOMC議事要旨によると、据え置きは全会一致で決まり、政策担当者らは「インフレ率は委員会の2%目標と比べて、依然として高い」と指摘していた。CME FedWatchの先物市場データによると、月曜日の原油価格下落前は、1バレル100ドルを超える原油高により、将来の会合で利上げが行われる確率が、1週間前の12%から38%へ急上昇していた。
FRBのケビン・ウォーシュ議長は、将来の政策運営に関する具体的な手掛かりをあまり示さない一方、インフレ率を2%へ戻す方針を明確にしている。EYパルテノンのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は7月22日の分析で、「7月の利上げの可能性は依然として極めて低いが、9月のFOMC会合は、最近のインフレ改善が持続的なものかどうかを試す最初の本格的な機会になる可能性がある」と述べた。2026年初めには、ほとんどのエコノミストが年内に少なくとも1回の利下げを予想していたが、エネルギー価格に起因するインフレによって、その予想は完全に覆された。
HSBCの米国金利ストラテジスト、ディラジ・ナルラ氏は、原油高が利上げ観測の再燃につながった一方、インフレ期待は比較的抑制されていると指摘した。その理由として、物価安定を重視するFRBの強いメッセージが、オイルショックの長期的なインフレ期待への波及を防いだことを挙げている。
政策担当者にとってこの状況を難しくしている構造的な問題が、エコノミストのいうスタグフレーションである。供給に起因するショックはインフレ率を押し上げると同時に経済成長を鈍化させるため、中央銀行はどちらの痛みを消費者に負わせるかという選択を迫られる。利上げはインフレを抑える一方、景気減速を深刻化させる。4月と同様に停戦が再び崩壊すれば、月曜日の原油安によるインフレ緩和への期待は即座に消えるだろう。
イングランド銀行(BOE)も同様に難しい立場にある。金融政策委員会(MPC)は、7月30日木曜日の英国時間正午(日本時間午後8時)に、四半期金融政策報告書とともに政策金利を発表する予定だ。6月の会合では、MPCは7対2で政策金利を3.75%に据え置いた。ヒュー・ピル氏とメーガン・グリーン氏は、4.00%への即時引き上げを主張して据え置きに反対した。英国の5月の消費者物価指数(CPI)上昇率は約2.8%だったが、サービス価格のインフレ率は3.7%へ上昇しており、委員会はタカ派的な姿勢を維持している。金融市場は現在、木曜日の会合で利上げが行われる確率を約14%と織り込んでいるが、この数字は、木曜日の朝までの原油価格の動きに応じて変化する可能性がある。
UOBのアナリストは、より広範なリスクを端的にまとめている。中東での紛争がさらに拡大し、紅海の海運とロシアからの供給が同時に寸断される事態になれば、「供給の寸断が長引くことで原油価格は高止まりし、世界的なインフレの上振れリスクとなり続ける可能性が高い」という。
■一時停止は維持されるか
月曜日に始まった一時停止から、ホルムズ海峡の長期的な再開へ至る道筋には、複数の争点がある。最近の外交経緯を踏まえれば、慎重な見方が必要だ。オマーンが仲介役を務めており、イランとオマーンの外務次官はテヘランで会合を開き、ホルムズ海峡の海運について協議した。パキスタンとカタールも仲介に関与している。
イランは別途、ホルムズ海峡を通過する船舶に通行料または監督料を課す意向を示しているが、米国はこの提案に強く反対している。この構造的な意見の相違に加え、4月の停戦が数日で崩壊した前例もある。このため、海運業界の関係者は、ホルムズ海峡の航路に船舶を戻す前に、明確かつ継続的な安全の保証を待つ可能性が高い。
今回の一時停止には、ウォルツ氏自身が認めた重要な軍事的背景もある。米軍では、一部の高性能迎撃ミサイルや精密誘導兵器の在庫が減少している。これは、ロシア・ウクライナ紛争や過去の対フーシ派作戦による備蓄の取り崩しに加え、13夜にわたる爆撃作戦で兵器を急速に使用したためだ。報道によると、攻撃可能なイラン側の標的が少なくなりつつあるという軍の評価も、トランプ大統領が攻撃の一時停止を決めた要因の一つだった。
今のところ、原油トレーダーはこれを問題の解決ではなく、一時的な安堵とみている。一時停止が維持されるかどうかは、ホルムズ海峡の監督に一定の役割を求めるイラン、同海峡が全面的かつ自由に開放されるべきだと主張する米国、そしてサウジアラビアの代替輸出ルートを直接攻撃の対象としたフーシ派の作戦という3つの問題に対処できる枠組みを、オマーンとカタールが構築できるかにかかっている。
■注目ポイントQ&A
●米国とイランの攻撃一時停止にもかかわらず、原油価格が依然として高止まりしているのはなぜですか?
攻撃の一時停止は実際に行われていますが、世界の原油供給を制約している要因のすべてが、米国とイランの動向だけで決まるわけではありません。ホルムズ海峡を通るサウジアラビアの通常の輸出ルートは事実上閉鎖されたままで、同海峡を通過する商船は紛争前の約100隻に対し、現在は1日当たり10隻未満です。サウジアラビアが迂回路として利用する東西パイプラインも、ヤンブー港でフーシ派の新たな脅威に直面しています。土曜日には、アラムコの施設を狙ったミサイル攻撃がありました。これとは別に、カスピ海パイプラインコンソーシアムの黒海ターミナルでタンカーを狙ったウクライナのドローン攻撃により、カザフスタンの原油輸出の約80〜90%に影響が及んでいます。正式な停戦後であっても、海運業界の信頼を回復し、ホルムズ海峡から不発弾を撤去するには数週間かかります。原油価格は日々の攻撃回数だけでなく、こうした構造的な供給不足のすべてを反映しています。
●水曜日のFRBの金利決定は、月曜日の原油価格下落によってどのような影響を受けますか?
月曜日の下落前から、7月の利上げの可能性は極めて低いと考えられていました。約38%という確率は将来の会合に関するものであり、今回の会合での利上げ確率ではありません。変化するのは中期的な政策判断です。水曜日まで原油価格が1バレル95ドルを下回って推移し、FRBが月曜日の動きを持続的なインフレ鈍化傾向の始まりと判断した場合、ケビン・ウォーシュFRB議長は政策決定後の記者会見でタカ派的な姿勢を和らげる可能性があります。4月の停戦を受けた下落と同じように、今回の下落も一時的だとみられれば、9月の会合がFRBの対応を見極める次の大きな試金石となります。市場は、水曜日の米東部時間午後2時までに起きるあらゆる外交上の進展を注視しています。
●木曜日のイングランド銀行の金利決定は、英国の消費者にとって何を意味しますか?
イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)は、7月30日木曜日の英国時間正午(日本時間午後8時)に政策金利を決定します。6月の会合では、委員会は7対2で金利を3.75%に据え置きましたが、2人の委員は4.00%への引き上げを支持しました。英国のサービス価格のインフレ率が3.7%となっているため、委員会は警戒を続けています。月曜日の原油価格下落が持続すれば、即時利上げの必要性は低下します。市場が現在織り込んでいる木曜日の利上げ確率は約14%です。しかし、英国の住宅ローン金利や企業の借入コストは、政策金利が据え置かれた場合でもBOEの政策見通しに敏感に反応します。利上げを支持する委員が増え、声明がタカ派的になれば、将来の利上げが示唆され、木曜日の採決結果にかかわらず長期の借入コストが上昇する可能性があります。
●サウジアラビアは、イランやカザフスタンからの供給途絶を補うため、単純に原油を増産できないのですか?
サウジアラビアはすでに、東西パイプラインを設計上の最大能力である日量700万バレルで稼働させています。これは、天然ガス液用パイプラインを原油輸送に転用する緊急措置によって実現したものです。原油は沿岸まで到達しますが、問題は、それをタンカーに積み込み、紅海から運び出すことです。
紅海南端にある幅18マイルのバブ・エル・マンデブ海峡が唯一の出口ですが、現在はフーシ派による直接的な脅威にさらされています。サウジアラビアのタンカーが原油を積み込むヤンブーも、土曜日にフーシ派のミサイルの標的となりました。パイプラインを最大限稼働させても、搬出地点そのものが攻撃の脅威にさらされています。パイプラインの能力は上限に達し、港は攻撃対象となり、出口となる海峡も脅かされています。こうした物理的な制約があるため、米国とイランの外交がどれほど早く進展しても、供給は逼迫したままとなります。
元記事: Oil Tumbles on Iran Pause as Saudi Arabia’s Last Export Corridor Faces Houthi Siege
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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