シャオミが格安「Mijia」ドラム式洗濯機をドイツで発売、中国データ法制に伴うプライバシー上の懸念も

2026年7月24日 12:01

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記事提供元:Tech Times

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シャオミ(Xiaomi)がドイツで「Mijia」ブランドのスマートドラム式洗濯機および洗濯乾燥機を発売した。BoschやMieleなどの競合ブランドを大きく下回る価格設定や12年保証のインバーターモーターが注目を集める一方で、本製品は「Xiaomi Home」アプリと連携するIoT家電である。中国の国家情報法をはじめとするデータ法制の対象となるため、欧州市場での高いコストパフォーマンスとデータプライバシーを巡る議論が浮き彫りとなっている。

■大手ブランドに挑む低価格でドイツ市場に参入

シャオミはドイツの公式Xiaomi Storeにて、「Mijia Washing Machine(容量8kg)」および「Mijia Washer-Dryer(洗濯8kg/乾燥6kg)」の販売を開始した。発売記念価格は、洗濯機単体モデルが449ユーロ(約513ドル、約8万4,100円、1ドル=164円換算)、洗濯乾燥機モデルが479ユーロ(約547ドル、約8万9,700円)となっており、希望小売価格(それぞれ499ユーロ、559ユーロ)から大幅に割り引かれている。

ドイツ市場において、同等のアプリ連携機能やスチーム機能を備えたBosch、Miele、Siemensなどのドラム式洗濯機は600ユーロから1,000ユーロ以上で販売されている。ドイツのスマート洗濯機市場は2024年に約2億7,600万ドル規模と評価され、2030年までに6億9,400万ドルへ達すると予測されるなか、シャオミは既存大手を大幅に下回る価格で参入した形だ。

両モデルは共通のハードウェアプラットフォームを採用した前開きドラム式で、ドラム径525mm、最高回転数1,400 RPMを誇る。前面パネルにはカラーディスプレイを搭載し、15分急速洗いコースや高温ドラム自動洗浄機能を備える。奥行きは約535mmで欧州の標準ビルトイン規格に適合し、2024年2月にはiFデザイン賞を受賞している。

■インバーターモーターと蒸気除菌の仕組みと低価格の理由

低価格でありながらモーターに12年間の長寿命保証を提供できる技術的背景には、Nidec(ニデック)などの大手サプライヤーの技術を活用したブラシレスDC(BLDC)インバーターモーターの採用がある。機械的な摩耗が発生するブラシを排除し、電子制御で回転数を精密に制御するため、摩擦による劣化を防ぎ、モーター本体の12年保証(製品全体保証は2年)を実現している。

また、ドイツの第三者認証機関TÜV Südによるラボテストにおいて、最高99.99%の細菌削減効果が実証された高温スチーム除菌機能も特徴の一つである。スチームが衣類繊維の奥まで均一に浸透し、高温で細菌のタンパク質を変性させる仕組みだ。

シャオミがこれらの機能を抑えた価格で提供できる理由は、同社の垂直統合とエコシステム全体でのプラットフォーム経済にある。カメラや空気清浄機、ロボット掃除機などで共通して使用される「Xiaomi Home」アプリとクラウドインフラの開発コストをポートフォリオ全体で分散・回収できるため、洗濯機単体の開発コストを大幅に削減できている。

■「Xiaomi Home」アプリ連携が意味する機能とデータ伝送

両製品は「Xiaomi Home」アプリとの連携を前提としており、遠隔操作やスケジュール設定、OTA(Over-The-Air)によるファームウェアの継続的なアップデートに対応している。これにより購入後もプログラムの改善やバグ修正が受けられる利点がある。

一方で、製品はシャオミのクラウドインフラと常時接続され、稼働状態、使用パターン、診断データ、エラーコード、デバイス識別子などがシャオミのサーバーに送信される。欧州のユーザーに対しては、オランダ法人(Xiaomi Technology Netherlands B.V.)がEU一般データ保護規則(GDPR)上のデータ管理者となり、標準契約条項(SCC)を運用しているとしている。また、2026年9月11日からは「EUサイバーレジリエンス法(Regulation EU 2024/2847)」に基づき、悪用された脆弱性を24時間以内に報告する義務がシャオミにも課される。

■中国のデータ法制と洗濯データに関わる法制度リスク

シャオミ製品の導入は、単なる家電の選択にとどまらず、メーカーとのデータ関係を選択することでもある。中国に本社を置く企業として、シャオミには中国の法律が適用される。

中国の「国家情報法(2017年)」第7条は、すべての組織および市民に対し、国家の情報活動への協力と支援を義務付けている。これは欧州サーバーの所在地やGDPRへのコミットメントに関わらず適用され、オランダ子会社の存在によって免除されるものではない。さらに「データ安全法(2021年)」第35条および第29条、2026年1月1日に施行された改正「サイバーセキュリティ法」により、安全保障上のデータアクセス要求やデータ侵害の報告義務が規定されている。

具体的に収集されるデータには、アプリの利用パターン、クラッシュログ、IPアドレスのほか、洗濯の実行頻度や時間帯、ネットワーク接続情報などが含まれる。なお、今回ドイツで投入された特定のMijia 8kgモデルに対する第三者機関による独立したセキュリティ監査結果は公表されていない。

技術的なリスク軽減策として、洗濯機を普段使用する端末とは別の専用IoT用VLAN(仮想LAN)に隔離すること、ルーター側で送信先IPを制限すること、アプリの権限を最小限に抑えることなどが挙げられる。ただし、これらはデータ露出の表面積を減らす対策であり、法律に基づく構造的な協力義務自体を解消するものではない。

■省エネ性能の表記と乾燥機能に関する注意点

両モデルは優れた洗浄・省エネ性能を謳っているが、評価指標には注意が必要だ。シャオミがアピールする「クラスAより30%高効率」という表現は自社内のテストレポートに基づく主張であり、EU公式のエネルギーラベル格付けではない。

洗濯乾燥機モデルの「乾燥機能」については、EU公式エネルギー格付けで「クラスD」(100サイクルあたり306 kWh)と設定されている。ドラム式一体型構造では乾燥用の空気流効率に限界があるためだ。電気代が高加算される欧州(ドイツの2024年平均電気代は約0.41ユーロ/kWh、約0.47ドル/kWh)において、乾燥機能を頻繁に使用する家庭にとってはランニングコストに大きく影響する可能性がある。

■価格だけで判断できない欧州ユーザーの選択基準

Mijiaシリーズは、12年保証のBLDCモーターやTÜV認証スチーム、OTA更新機能などを備え、製品のスペックと価格面では十分な競争力を持っている。

しかし購入にあたっては、乾燥時のエネルギー効率(クラスD)、特定のモデルに対する独立したセキュリティ監査の有無、そして中国法制下にあるという構造的な条件の3点を考慮する必要がある。欧州法のみに師事する既存メーカーとは異なる背景を理解した上での判断が求められる。

■注目ポイントQ&A

●シャオミの洗濯機は米国でも購入できますか?

2026年7月現在、本記事で取り上げたMijia洗濯機(8kg)および洗濯乾燥機(8kg)はドイツのXiaomi Store限定で販売されています。米国での販売予定は発表されていません。

●Xiaomi Homeアプリはどのようなデータを収集し、どこへ送信されますか?

アプリは使用パターン、洗濯履歴、エラーコード、デバイス識別子などを収集します。欧州ではオランダ法人がGDPR上のデータ管理者となりますが、中国本社は国家情報法第7条に基づき、当局からの命令があれば情報提供を義務付けられています。

●「クラスAより30%高効率」という表記はEU公式のエネルギーラベルですか?

いいえ、これはシャオミ内部のテスト結果に基づくマーケティング上の主張であり、EU公式のエネルギー格付けではありません。乾燥機能については公式に「クラスD」(100サイクルあたり306 kWh)と規定されています。

●データ露出を抑えるために購入者ができる技術的な対策はありますか?

洗濯機を専用のIoT用VLANや分離されたWi-Fiネットワークに接続すること、ルーターのファイアウォールで送信先を制限すること、スマホアプリの権限を最小限に抑えることが有効です。ただし、これらは技術的な露出を減らすものであり、法律上の協力義務を無効化するものではありません。

元記事: Xiaomi Launches Mijia Washing Machines in Germany With a Data Law Catch

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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