巴工業、26年10月期2桁増益予想、化学品好調と機械事業の収益性改善が寄与、自己株式消却・高配当も評価材料

2026年7月24日 07:41

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 巴工業<6309>(東証プライム)は遠心分離機械などの機械製造販売事業、および合成樹脂などの化学工業製品販売事業を展開し、成長戦略として海外事業拡大、収益性向上、資本効率改善などに取り組んでいる。新中期経営計画(26年10月期~28年10月期)では、配当方針を「DOE5%を下限として連結配当性向50%以上」としている。26年10月期は2桁増益予想(26年6月5日付で各利益を上方修正)としている。需要が高水準に推移して販管費増加などを吸収する見込みだ。修正後の通期予想に対する中間期の進捗率が高水準であり、通期利益予想に再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお7月23日付で自己株式消却(30万株、消却予定日26年10月30日)を発表した。株価は直近安値圏から切り返して戻り歩調だ。自己株式消却や高配当利回りなども評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開

 遠心分離機械などを中心とする機械製造販売事業、および合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を展開している。経済成長が見込まれるインド市場への展開に向けて、25年11月に機械製品および部品の販売を目的とする現地法人TOMOEKOGYO ENGINEERING INDIA PRIVATE LIMITEDを設立(26年6月23日付で増資を決定、払込日は26年10月中の予定)した。

 27年10月(予定)には神奈川県綾瀬市に新綾瀬工場(仮称)の稼働を予定している。遠心分離機の板金溶接加工を行う巴マシナリーを移転する。総投資額は約52億円の見込みである。そして25年11月には、経済産業省が実施する中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金において当該新工場建設が採択された。13.5億円の補助金を受領する。

 25年10月期セグメント別業績は、機械製造販売事業の売上高が152億38百万円で営業利益が18億44百万円、化学工業製品販売事業の売上高が441億27百万円で営業利益が35億08百万円だった。

 機械製造販売事業の需要先別売上高は国内官需59億15百万円、国内民需49億41百万円、海外43億81百万円、製品別売上高は機械38億81百万円、装置・工事24億85百万円、部品・修理88億71百万円だった。化学工業製品販売事業の製品別売上高は合成樹脂関連36億19百万円、工業材料関連65億10百万円、鉱産関連139億15百万円、化成品関連104億83百万円、機能材料関連52億27百万円、電子材料関連43億68百万円、その他(洋酒等)2百万円だった。

 収益面の特性として、機械製造販売事業は設備投資関連のため、第2四半期(2月~4月)および第4四半期(8月~10月)の構成比が高い傾向がある。

■中期経営計画

 新中期経営計画「Create The New Future ~新たな未来の創造~」(26年10月期~28年10月期)では、最終年度28年10月期の経営目標値として、売上高700億円(化学品500億円、機械200億円)、営業利益70億円(化学品42億円、機械28億円)、経常利益70億円、親会社株主帰属当期純利益50億円、ROE10.5%を掲げている。

 重点施策として、化学工業製品販売事業では専門商社としての強みや特色を活かした営業活動による利益の最大化、海外事業の拡大、ポートフォリオ戦略、新商品開発を推進する。具体的には、利益の最大化では売上総利益1億円以上の商材拡充による業績安定化と更なる成長、海外事業の拡大ではタイ・ベトナム・マレーシアにおける現地法人との連携による東南アジアでの事業拡充、チェコを拠点としたパワー半導体向け商材を中心とする欧州市場での拡販、耐火物向け商材を中心とするインド市場の開拓、ポートフォリオ戦略ではポートフォリオ分析に基づく高収益事業への経営資源投入による成長加速と課題事業の収益改善、新商品開発では収益拡大に寄与する新商品開発に対する取り組み、新たな分野への進出による事業領域拡大と収益基盤の多様化を推進する。部署別の取り組み方針としては、化成品関連では半導体・電子材料用途の拡販、工業材料関連ではファインセラミックス等の高付加価値商材の開発と海外販売の拡大、鉱産関連では高付加価値商材・ニッチ市場商材の取り扱い拡大、機能材料関連ではAI用データセンター向けGaN等の次世代半導体市場での商圏確立、電子材料関連では半導体市況の影響を受けにくい新規商材開発・取引先開拓、合成樹脂関連では輸入樹脂の取引先開拓やリサイクル樹脂の拡販強化に注力する。

 機械製造販売事業では第一の柱として海外事業の拡大、第二の柱としてバイナリー発電装置の販売促進による事業基盤の確立、第三の柱として機械商社としての機能強化による取り扱い製商品の拡充を推進するほか、研究・開発-生産-販売体制構築を推進する。具体的には海外事業の拡大ではインド市場開拓、東南アジア販売ネットワーク構築、米国・中国の一層の深耕によって販売体制を構築するほか、新工場建設によって生産能力を50%増強する。バイナリー発電装置の販売促進では焼却炉や産業排熱分野に注力する。取り扱い製商品の拡充では超低温ベルト乾燥機や環境関連製品など環境負荷軽減につながる製商品を拡充する。

 なお26年3月に、機械製造販売事業の重点施策「第二の柱、バイナリー発電装置の販売促進による事業基盤の確立」推進の一環として、250°C未満の低温廃熱活用分野における事業領域拡大構想をリリースした。従来の30kWバイナリー発電装置に加え、新たに(1)第一実業<8059>からアクセスエナジー社(米国)製タービン発電機を組み込んだ125kWバイナリー発電装置の日本国内における独占的製造権および独占的販売権の譲受、カルネティクステクノロジーズ社(米国、アクセスエナジー社の親会社)との技術ライセンス契約によるバイナリー発電装置の中核技術であるタービン発電機に関する技術導入、(2)マックスワット社(インド)の蒸気発電装置に関する国内独占販売権の獲得、(3)熱交換器の新規取り扱い開始により製品ラインナップを拡充し、新たな販売体制を構築した。このバイナリー発電装置事業を、同社機械事業の主力であるデカンタ型遠心分離機に匹敵する売上高規模へ成長させることを目指す。

 サステナビリティ経営に関しては基本方針を、継続的な技術革新・既存商品の性能向上・新規用途開発への取り組みによる持続可能な成長実現、社会的課題解決に資する事業の推進による持続可能な社会の実現と企業価値向上、働きやすい職場環境作りと推進と全てのステークホルダーに対する社会的責任の遂行としている。なお人的資本経営に関しては、女性総合職比率8%以上を目指す。また賃金ベースアップについては、本中期経営計画期間中(26年~28年)は年5%以上の賃金ベースアップを継続するほか、新工場建設に伴う経済産業省からの補助金事業実施期間中(28年~30年)においても年5%以上の賃金ベースアップを継続する予定だ。

 資本コストや株価を意識した経営については資本効率向上を追求し、28年10月期にROE10.5%とPBR1.5倍を目指す。株主還元については、これまで株主還元指標としていた配当性向目標40%を50%に引き上げるとともに、これまで以上に安定的な配当を実現するため新たな配当方針としてDOE(株主資本配当率)を導入し、本中期経営計画期間中の配当方針を「DOE5%を下限とし、連結配当性向50%以上」としている。

■26年10月期は上方修正して2桁増益予想、さらに再上振れの可能性

 26年10月期の連結業績予想(26年6月5日付で売上高を下方、各利益を上方修正)は売上高が前期比6.0%増の629億円、営業利益が10.2%増の59億円、経常利益が11.1%増の60億円、親会社株主帰属当期純利益が14.2%増の44億円としている。

 前回予想(25年12月11日付の期初公表値、売上高632億円、営業利益57億50百万円、経常利益57億70百万円、親会社株主帰属当期純利益42億円)に対して、売上高を3億円下方修正したが、営業利益を1億50百万円、経常利益を2億30百万円、親会社株主帰属当期純利益を2億円、それぞれ上方修正した。

 売上高は機械製造販売事業の海外向け案件が一部繰り延べとなった影響で前回予想を下回るが、各利益は化学工業製品販売事業の好調と機械製造販売事業の収益性改善により、前回予想に対して増益幅が拡大する見込みだ。また親会社株主帰属当期純利益については、中国の星際塑料(深圳)有限公司の清算完了に伴う為替換算調整勘定取崩益ならびに政策保有株式売却益の計上も寄与する。営業利益、経常利益は6期連続、当期純利益は3期連続で過去最高を見込む。

 なお通期利益予想の上方修正に伴って、配当予想も6月5日付で期末4円上方修正(中間配当は据え置き)し、前期(25年5月1日付の株式3分割換算後60.33円)比15.67円増配の76円(中間期末36円、期末40円)とした。予想配当性向は50.8%である。新中期経営計画(26年10月期~28年10月期)で配当方針を変更し、株主資本配当率(DOE)5%を下限として、連結配当性向50%以上を目標(従来は連結配当性向40%以上を目標)としている。

 中間期の連結業績は売上高が前年同期比1.5%減の308億49百万円、営業利益が0.2%減の37億03百万円、経常利益が1.8%増の37億94百万円、親会社株主帰属中間純利益が8.9%増の27億93百万円だった。化学工業製品販売事業が伸び悩んだため、全体として売上高、営業利益とも前年同期比横ばいだった。当期純利益については、中国子会社清算に伴う為替換算調整勘定取崩益、および政策保有株式の売却益計上により増益だった。

 機械製造販売事業は、売上高が横ばいの88億40百万円、営業利益が0.7%減の18億73百万円だった。売上高の内訳は需要先別には国内官需が17.0%増の43億96百万円、国内民需が13.6%減の21億89百万円、海外が11.4%減の22億54百万円、製品別には機械が横ばいの20億50百万円、装置・工事が17.6%減の9億73百万円、部品・修理が3.7%増の58億17百万円となった。売上面は国内民需向け部品・修理、海外向け機械および部品・修理が低調だったが、国内官需および海外向け部品・修理の好調がカバーした。利益面は人件費の増加などにより微減益だった。

 化学工業製品販売事業は、売上高が2.1%減の220億08百万円、営業利益が0.2%増の18億29百万円だった。製品別の売上高は、合成樹脂関連が中国の星際塑料(深圳)有限公司の清算完了により18.3%減の15億93百万円、工業材料関連が建材・耐火物向けの好調により21.8%増の37億68百万円、鉱産関連が樹脂向け添加剤の減少により17.4%減の59億87百万円、化成品関連がコーティング用途向け材料の好調により2.4%増の55億16百万円、機能材料関連が半導体製造用途向け材料の好調により4.2%増の27億54百万円、電子材料関連が半導体組立用途向け材料の好調により8.0%増の23億32百万円、その他(洋酒等)が55百万円(前年同期は0百万円)だった。売上面は伸び悩んだが、利益面は売上総利益の伸びが販管費の伸びを吸収した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高153億33百万円で営業利益16億72百万円、第2四半期は売上高155億16百万円で営業利益20億31百万円だった。

 通期のセグメント別計画(修正後)は、機械製造販売事業の売上高が8.9%増の166億円、売上総利益が12.4%増の65億90百万円、営業利益が16.6%増の21億50百万円、化学工業製品販売事業の売上高が4.9%増の463億円、売上総利益が6.9%増の97億50百万円、営業利益が6.9%増の37億50百万円としている。

 機械製造販売事業の売上高の内訳は、需要先別には国内官需が4.1%増の61億60百万円、国内民需が3.1%減の47億90百万円、海外が29.0%増の56億50百万円で、製品別には機械が22.1%増の47億40百万円、装置・工事が36.0%減の15億90百万円、部品・修理が15.8%増の102億70百万円としている。装置・工事は国内民需および海外の大型案件の反動で減収だが、国内官需の部品・修理、海外の機械および部品・修理の好調が牽引する。

 化学工業製品販売事業の製品別売上高は、合成樹脂関連が輸入樹脂の販売増により10.0%増の39億80百万円、工業材料関連が建材・耐火物向け材料の好調により17.4%増の76億40百万円、鉱産関連がアンチモン相場下落や競合他社の供給量回復により10.5%減の124億60百万円、化成品関連がコーティング用途向け材料の好調により8.7%増の113億90百万円、機能材料関連が半導体製造用途向け材料の好調により17.3%増の61億30百万円、電子材料関連が半導体組立用途向け材料の好調により4.2%増の45億50百万円、その他が低温廃熱活用関連熱交換器の販売実現により1億50百万円(前期は2百万円)としている。

 修正後の通期予想に対する中間期の進捗率は売上高が49%、営業利益が63%、経常利益が63%、当期純利益が63%と高水準であり、通期利益予想に再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度はワインを贈呈

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は、毎年10月末時点で200株以上を継続して1年以上保有している株主を対象に、保有株式数に応じてワインを贈呈(200株以上600株未満はワイン1本、600株以上はワイン2本)を贈呈する。

■株価は戻り歩調

 なお7月23日に自己株式消却(30万株、消却予定日26年10月30日)を発表した。

 株価は6月の直近安値圏から切り返して戻り歩調だ。自己株式消却や高配当利回りなども評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。7月23日の終値は1900円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS149円54銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の76円で算出)は約4.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1427円68銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約569億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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