ネオジャパン、26年1月期は業績・配当予想を上方修正、大幅増収増益・増配、クラウド値上げが想定超

2025年12月23日 07:56

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ネオジャパン<3921>(東証プライム)は自社開発のグループウェアdesknet‘s NEOクラウドサービスを主力として、販売拡大とクロスセル加速、AIを活用した製品アップグレード・製品ラインナップ拡大、継続的なARPU拡大、海外事業の成長に伴う売上拡大などを推進している。26年1月期は業績・配当予想を上方修正して大幅増収増益・大幅増配予想としている。ソフトウェア事業におけるクラウドサービス値上げ効果が想定以上となる見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上方修正に対する反応が限定的でモミ合う形だが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。

■自社開発グループウェアのクラウドサービスが主力

 ビジネス・ITコミュニケーションツール開発企業である。自社開発のグループウェアdesknet‘s NEOのクラウドサービス(月額課金収入)を主力に、大企業向け中心のプロダクト(パッケージソフト販売のライセンス収入およびサポートサービス収入)も展開している。

 海外展開は19年6月米国子会社DELCUIを設立、19年12月マレーシアに合弁会社(連結子会社)NEOREKA ASIAを設立、21年2月タイに子会社Neo Thai Asiaを設立、24年4月フィリピンに子会社NEOPhilippineを設立し、拠点開設は3カ国となっている。当面は投資が先行する形だが、ASEAN全域においてdesknet‘s NEOブランドの確立を目指す。

 25年1月期のセグメント別売上高(セグメント間の内部売上高、または振替高を含む)は、グループウェアを中心とするビジネスICTツールのソフトウェア事業が52億13百万円(内訳はクラウドサービスが34億27百万円、プロダクトが17億03百万円、技術開発が81百万円)、子会社Pro-Spireのシステム開発サービス事業が20億33百万円、海外事業が1億28百万円、調整額が▲1億11百万円、営業利益(全社費用等調整前)はソフトウェア事業が20億11百万円、システム開発サービス事業が65百万円、海外事業が▲1億27百万円、調整額が1百万円だった。

 なお外部顧客への売上高に占めるストック収益比率は、ソフトウェア事業(クラウドサービス提供による利用料、パッケージソフトのサポートサービス料、ASPライセンス料など)が83.3%、システム開発サービス事業(同一取引先に対して各決算期末の直前12カ月以上継続して売上を計上している準委任契約、派遣契約など)が96.7%、海外事業が69.2%だった。

■製品ラインナップ拡充

 desknet‘s NEOは、すべての組織のDX推進を支えるオールインワン改善プラットフォームである。多機能・使いやすさ・高品質・低価格を強みとしている。業種・業態・規模を問わず幅広く企業・官公庁・自治体に採用され、25年5月時点で自治体・政府機関1250団体以上(自治体導入実績が643で都道府県庁の3分の1以上に納入、および公的機関導入実績が611)に導入されている。

 desknet‘s NEO以外の製品ラインナップとしては、ノンプログラムで誰でもWebアプリを簡単に作成できるノーコード業務アプリ作成ツールAppSuite、新しいコミュニケーションツールとしてのセキュリティ特化型ビジネスチャットChatLuckを提供している。

 25年1月期末時点で、グループウェアdesknet‘s NEOのプロダクト累計販売実績数は4.0%増の455.9万ユーザー、クラウドユーザー数は3.5%増の53.7万ユーザー、ノーコード業務アプリ作成ツールAppSuiteのプロダクト累計販売実績数は29.3%増の40.2万ユーザー、クラウドユーザー数は37.9%増の8.0万ユーザーとなっている。

 24年6月には、カスタマーコミュニケーションハブとして「NEOPORT」の提供を開始した。メール、チャット、動画音声メッセージなど多様化するカスタマーとのコミュニケーションチャネルを共通のプラットフォームに統合し、AI・自動化技術も活用してチームでの顧客対応業務を効率化させるクラウド型の新しいコミュニケーションツールである。25年9月には、社内データ×生成AIをノーコードで実現する生成AIプラットフォーム「neoAI Chat for desknet‘s」をリリースした。25年10月には米LIVEX AI社と、AIエージェント「LiveX AI」の再販パートナー契約を締結し、日本でのサービスを開始した。日本企業では初の再販パートナー契約となる。

■さまざまな賞を受賞

 24年9月には日経BP発行の「日経BPガバメントテクノロジー 2024年秋号」で発表された「自治体ITシステム満足度調査2024―2025 グループウェア/ビジネスチャット部門」において1位を獲得した。

 25年5月にはアイティクラウドが主催する「ITreview Best Software in Japan 2025」の「グループウェア」カテゴリーにおいてdesknet‘s NEOが、また「ノーコードWebデータベース」カテゴリーにおいてAppSuiteが、それぞれTOP100に選出された。AppSuiteは初の選出となる。

 25年9月にはスマートキャンプ社が運営する「BOXIL SaaS AWARD Autumn 2025」において、desknet‘s NEO、AppSuite、ChatLuckが、3部門で合計10の賞を受賞した。

 25年10月にはアイティクラウドが主催する「ITreview Grid Award 2025 FALL」において、desknet‘s NEO、AppSuite、ChatLuckが、それぞれ5部門で最高位であるLeaderを受賞した。desknet‘s NEOはグループウェア部門で26期連続での受賞となった。その使いやすさと顧客満足度の高さが評価されている。

 25年12月には、Innovation&Co.が運営する「ITトレンド年間ランキング2025」の【急上昇】グループウェア部門においてdesknet‘s NEOが、および【急上昇】ノーコード・ローコード開発部門においてAppSuite、それぞれ第1位を獲得した。

■成長戦略

 25年6月に策定した中期業績目標値(26年1月期~28年1月期)では、最終年度28年1月期に売上高94億23百万円、営業利益26億20百万円を目指すとした。CAGR(年平均成長率)は売上高が9.1%、営業利益が10.3%となる。

 成長戦略として国内累計販売ユーザー数1000万ユーザー、グループウェア国内トップシェアを目指し、desknet‘s NEOを中心とする製品販売拡大とクロスセル加速、AIを活用した製品アップグレード・製品ラインナップ拡大、継続的なARPU拡大、海外事業の成長に伴う売上拡大などを推進している。

 東南アジア市場開拓戦略では、23年9月にフィリピン経済特区庁(PEZA)と適切なICTシステムの開発と導入に関する基本合意(MOU)を締結した。海外政府機関とのMOU締結は同社にとって初となる。24年7月にはマレーシアの連結子会社NEOREKA ASIAが、desknet‘s NEOとAppSuiteでマレーシア投資開発庁のデジタル改革加速を支援すると発表した。24年10月にはNEOREKA ASIAが、Solsis(Dataprep Holdingsの連結子会社)と販売代理店契約を締結した。マレーシア政府機関などへの販売拡大を目指す。25年6月にはマレーシア・ジョホール州政府の投資促進機関Invest Johorと、同州イスカンダル地域への東南アジア・エクセレンスセンター(SEA CoE)の設立に向けた戦略的協力に関する基本合意書を締結した。25年10月にはNEOREKA ASIAが、JACTIM(マレーシア日本人商工会議所)の会員ポータルを刷新した。

■サステナビリティ経営

 サステナビリティ経営への取り組みとして23年5月にサステナビリティ委員会を設置、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明した。24年3月には、横浜市が取り組む「横浜健康経営認証」において最高クラスの「横浜健康経営認証クラスAAA」に認定(認証期間は24年4月1日から2年間)された。24年6月には厚生労働大臣が認定する「くるみん認定」を取得、スポーツ庁が推進する「Sport in Lifeコンソーシアム」に加盟した。25年2月にはスポーツ庁の「スポーツエールカンパニー2025」に認定された。25年3月には経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において、健康経営優良法人2025(大規模法人部門(ホワイト500))に認定された。健康経営優良法人は6年連続、ホワイト500は初認定となる。

■26年1月期は上方修正して大幅増収増益予想

 26年1月期の連結業績予想については25年12月11日付で上方修正し、売上高が前期比13.2%増の82億19百万円、営業利益が24.6%増の24億31百万円、経常利益が23.6%増の25億33百万円、親会社株主帰属当期純利益が23.5%増の17億46百万円としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比15.2%増の60億88百万円、営業利益が36.7%増の18億85百万円、経常利益が35.1%増の19億67百万円、親会社株主帰属四半期純利益が37.5%増の13億52百万円だった。ソフトウェア事業のクラウドサービスが牽引して大幅増収増益だった。

 ソフトウェア事業(海外事業に含めていた子会社DELCUIの業績を当期よりソフトウェア事業に含む)は、売上高が前年同期比22.5%増の45億97百万円、営業利益(セグメント間取引消去前)が36.0%増の18億97百万円だった。売上高の内訳は、主力のクラウドサービスが31.0%増の31億93百万円、プロダクトが1.7%増の12億77百万円、技術開発が114.5%増の1億25百万円だった。

 クラウドサービスの売上高の内訳は、グループウェアdesknet‘s NEOクラウドが30.1%増の26億60百万円、ノーコード業務アプリ作成ツールAppSuiteクラウドが63.5%増の2億84百万円、ビジネスチャットChatLuckクラウドが16.2%増の70百万円、その他月額売上が2.8%増の1億38百万円、その他役務作業等が76.7%増の39百万円だった。24年9月以降の価格改定やセットプランなどの効果も寄与して大幅伸長した。

 26年1月期第3四半期末時点のグループウェアdesknet‘s NEOのプロダクト累計販売実績数は前年同期比2.2%増の464.0万ユーザー、クラウドユーザー数は3.2%増の55.4万ユーザー、ノーコード業務アプリ作成ツールAppSuiteのプロダクト累計販売実績数は12.6%増の43.9万ユーザー、クラウドユーザー数は44.4%増の10.4万ユーザーとなった。

 システム開発サービス事業(子会社のPro-SPIRE)は売上高が4.2%減の14億58百万円、営業利益が13.0%増の51百万円だった。売上面は既存取引先のプロジェクト規模縮小の影響で減収だが、利益面は外注費の削減により増益だった。海外事業は売上高が116.8%増の52百万円で営業利益が61百万円の損失(前年同期は62百万円の損失)だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が19億96百万円で営業利益が6億44百万円、第2四半期は売上高が19億77百万円で営業利益が6億06百万円、第3四半期は売上高が21億14百万円で営業利益が6億35百万円だった。

 通期連結業績予想は前回予想(売上高80億48百万円、営業利益21億06百万円、経常利益21億66百万円、親会社株主帰属当期純利益14億62百万円)に対して、売上高を1億70百万円、営業利益を3億25百万円、経常利益を3億66百万円、親会社株主帰属当期純利益を2億84百万円それぞれ上方修正した。ソフトウェア事業におけるクラウドサービス値上げ効果が想定以上となる見込みだ。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74%、営業利益が78%、経常利益が78%、親会社株主帰属当期純利益が77%となる。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主還元は累進配当で連結配当性向40%目安

 同社は株主還元について25年1月期より、累進配当を基本方針として連結配当性向を40%目安に引き上げた。この基本方針に基づいて、26年1月期の配当予想は25年12月11日付で期末8円上方修正し、前期比10円増配の50円(第2四半期末21円、期末29円)としている。予想配当性向は40.1%となる。

■株価は調整一巡

 株価は上方修正に対する反応が限定的でモミ合う形だが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。12月22日の終値は1812円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS124円71銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS450円67銭で算出)は約4.0倍、そして時価総額は約255億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

【関連記事・情報】
【株式市場特集】銀行株とコメ関連株に投資妙味、休暇明け相場で注目(2025/08/18)
【株式市場特集】決算発表と好材料同時発表で株価急伸の銘柄群を分析(2025/08/12)
【株式市場特集】株主還元強化で市場に安心感、好業績企業が牽引する新たな投資トレンド(2025/08/04)
【株式市場特集】利上げなら銀行・円高メリット株、据え置きなら不動産株、日銀金融政策の行方(2025/07/28)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事