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再生可能エネルギー:いちごの「固定価格買取制度」後に示す姿勢を評価したい
いちご(2337、東証プライム市場)の主たる事業は、「不動産運用」「REIT運用」「太陽光発電事業」。収益動向は堅調。2024年2月期は「21.5%増収、3.7%営業増益、1円増配9円配」、25年2月期「1.0%増収、25.8%営業増益、1.50円増配10.50円配」。そして今2月期は「19.6%営業増益(195億円)、1円増配11.50円配」計画。
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今回注目したいのは、再生エネルギー(太陽光発電)事業の今後だ。
北は北海道から南は沖縄まで、全国で64カ所のECO(太陽光/風力)発電施設を展開している。現状で総パネル出力は188.27MW(メガワット)、利用面積は429万9072m2。
再生エネルギーは脱二酸化炭素に象徴される、環境保全に喫緊の課題。が事業として手掛ける以上、対応が容易でないのがFIT制度。2009年に実質上制度化された再生エネルギーの「固定価格買取制度」だ。
周知の通り、施設が一定年数を経ると「非固定価格買取」となる。平たく言えば、マーケットの需給に基づく「時価」になる。いちごはどう対応するのか。問い合わせに、こんな返事が届いた。
『長期安定的な発電事業の実施に向けた事業計画(太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度関連)』。そこには具体的な方向が記されていた。
(I)売電方法等(市場売電、相対契約、自社運用のJリート保有不動産を含む自社不動産への電力供給等)に関する検討を行う。
(II)(固定価格)調達期間終了後も「総合監視システムや稼働状況モニタリング等、高度技術に支えられたオペレーション」は、適切な設備更新に関する検討をする。
(III)再投資計画等の詳細は、調達期間終了が近づいた段階で具体化する。
以上の通り調達期間終了後も必要に応じ適切な設備更新を行い、発電事業を継続する。
既に社内で前記のような規定が定められていることは、大きな意味を持つ。いちごは「地域社会とともに」を掲げ土地を(地権者から)借り受け、発電事業を展開している。地域・地権者への安心感は、常に求められるからだ。「よいしょ」と受け取られるかもしれないが、評価したい。
本稿作成時点のいちごの株価は、380円台半ば水準。予想税引き後配当利回りは2.4%。年初来高値402円(3月27日)から全体相場の下落に巻き込まれ、4月7日に331円まで値を崩した後の戻り過程。IFIS目標平均株価は「算出者の半分が強気、半分が中立」姿勢だが、480円。さて・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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