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ミロク情報サービス、26年3月期は増収増益・連続増配予想、クラウド・サブスク型収益モデル移行が加速
ミロク情報サービス<9928>(東証プライム)は財務・会計ソフトをベースとして、クラウド・サブスク型収益モデルへの転換加速、統合型DXプラットフォーム戦略、サステナビリティ経営などを推進している。26年3月期は増収増益・連続増配予想としている。ソフトウェア提供の売り切り型からサブスク型への移行期間のため伸び率は小幅だが、安定したストック収益の積み上げに加え、ソフトウェア製品の償却負担減少なども寄与する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は反発力の鈍い形だが、調整一巡して出直りを期待したい。
■財務・会計ソフトの大手
会計事務所(税理士・公認会計士事務所)と、その顧問先企業である中堅・中小企業向けに、財務・会計ソフトなどの業務用アプリケーションソフト開発・販売、汎用サーバ・パソコン・サプライ用品販売、運用支援・保守サービス、経営情報・コンサルティングサービスなどを展開している。
会計事務所が抱えている課題を解決することで中堅・中小企業の支援に繋がるトータルソリューションを強みとして、全国約8400の会計事務所ユーザー、および約10万社の中堅・中小企業ユーザーを有している。
21年1月にブロックチェーン・プラットフォーム開発のToposWareと資本提携、21年6月に税務・会計を中心としたコンテンツ提供や士業事務所の経営支援サービスを提供するKACHIEL(カチエル)と資本業務提携、21年9月にアナリティクス・コンサルティングサービスやAI開発・運用を行うセカンドサイト社と資本業務提携、22年2月に子会社DX Tokyoを設立、22年9月に顧客管理・営業支援システム開発・販売のBizMagicを子会社化、25年4月にフィンテック関連サービスを展開する子会社MJS Finance & Technologyを吸収合併した。
■中堅・中小企業向けERPシステムが主力
主力の中堅・中小企業向けERPシステム「MJSLINKシリーズ」は、デロイト トーマツ ミック経済研究所の「基幹業務パッケージソフト(ERP)の市場展望2023年度版」における中規模企業向けERP部門で2年連続売上高1位、富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場2023年版」における中小規模企業向けERP・パッケージ・数量に基づく調査で1位、矢野経済研究所の「2024 ERP市場の実態と展望」における年商50億円未満の企業向け財務・会計管理ソリューションのライセンス売上高シェアで09年から15年連続1位となり、トリプルで1位を獲得している。
22年4月には中堅企業向け新ERPシステム「Galileopt DX」の提供を開始、22年7月には子会社トライベックが中小企業向けDXプラットフォームサービス「Hirameki7」の提供を開始、23年7月には「Hirameki7」の累計導入社数が1万社を突破した。また、小規模事業者・中小企業向けSaaS型販売管理システムを25年7月からサービス開始予定である。
■ストック型のサービス収入が増加基調
25年3月期の品目別売上高は、システム導入契約売上高(フロー型)が239億95百万円で内訳はハードウェアが55億67百万円、ソフトウェアが113億79百万円、ユースウェアが70億49百万円、サービス収入(ストック型)が184億59百万円で内訳はソフトウェア使用料が75億49百万円、TVS(会計事務所向け総合保守サービス)が26億12百万円、ソフト運用支援サービス(企業向けソフト保守サービス)が60億73百万円、ハードウェア・ネットワーク保守サービスが16億89百万円、サプライ・オフィス用品が5億33百万円、その他(関係会社)が37億05百万円だった。
中堅・中小企業向けERP製品のサブスクリプション型への移行促進により、ソフトウェア使用料収入などストック型のサービス収入が増加基調である。なおサービス収入のうち企業向けソフトウェア運用支援サービス収入は、売り切り型の契約企業へのソフト保守サービスであり、サブスクリプション型契約においてはソフト保守料に含み、ソフトウェア使用料収入に集計される。このため売り切り型からサブスクリプション型への移行に伴い売上高が減少傾向の形となる。
システム導入契約売上高の販売先別売上高構成比は企業向けが52.9%、会計事務所向けが34.5%、その他が12.6%、企業向け売上に占める新規企業比率は39.6%だった。サービス収入売上高のうちソフトウェア使用料(クラウド・サブスク等)の比率は40.9%、ソフトウェア・ハードウェアの保守・運用等の比率は59.1%だった。
2025年3月期のERP事業におけるサブスクリプション指標は、主力ERP製品サブスクリプション契約社数が前期比48.6%増の4740社、主力ERP製品サブスクリプション比率が20.2%、主力ERP製品の契約継続率が99.4%、主力ERP製品のARPU(25年3月期末時点のソフト使用料課金収入の平均値)が5.4%減の812千円、第4四半期の主力ERP製品のARR(サブスク・IaaS)が40.6%増の38億48百万円、第4四半期のソフトウェア使用料全体のARR(サブスク・IaaS)が29.6%増の83億73百万円となった。
■クラウド・サブスク型収益モデルへの移行を加速
24年5月に「サステナビリティ2030」および24年度~28年度を対象期間とする「中期経営計画Vision2028」を策定した。中期経営計画の経営目標値については、最終年度29年3月期売上高600億円、経常利益120億円、経常利益率20%、ROE18%を掲げている。内訳はMJS単体(ERP事業)が売上高500億円で経常利益100億円、グループ会社(DX・PF事業を以外)が売上高90億円で経常利益10億円、MJSグループDX・PF事業が売上高25億円で経常利益10億円としている。
成長に向けた6つの基本戦略として会計事務所ネットワークNo.1への戦略、中堅・中小企業向け総合ソリューション・ビジネス戦略、統合型DXプラットフォーム戦略、クラウド・サブスク型ビジネスモデルへの転換、グループ連携強化によるグループ会社の独自成長促進、戦略実現を加速する人材力・経営基盤強化を推進する。
MJS単体(ERP事業)では、高度なワンストップソリューションやDXコンサルティングによる新規顧客獲得・顧客基盤拡大、SaaS型ERP製品の開発・拡販とサブスプリクション型モデルへの移行、カスタマーサクセスによる顧客生涯価値の最大化実現を推進する。グループ会社(DX・PF事業を以外)では、グループ内での位置づけ・役割(業績貢献、先行投資、グループ開発体制強化など)を再定義したうえで、グループシナジー最大化を目指す。MJSグループDX・PF事業では、中小企業向けDXプラットフォームサービス「Hirameki7」のコンテンツ拡充とサービス有償化の向上などを推進する。
収益力向上施策としては、増収増益基調を維持しながら、MJS単体におけるサービス収入(サブスク型)比率を24年3月期実績の40%から29年3月期の60%へ引き上げる計画としている。29年3月期におけるサブスクリプション目標は、主要ERP製品サブスクリプション契約社数が24年3月期比370%増の15000社、ARRが同530%増の110億円、ソフト使用料全体のARRが210%増の200億円、主力ERP製品サブスクリプション比率が60%としている。
■サステナビリティ経営を推進
サステナビリティ経営に関しては、22年5月にサステナビリティ基本方針を策定し、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)の特定、サステナビリティ委員会の設置を発表した。基本方針はDX推進による地球環境への貢献、会計事務所と中小企業の経営革新や成長・発展を支援、多様なプロフェッショナル人材が活躍する働きがいのある職場づくり、健全成長のためのガバナンスの強化としている。
24年5月には「サステナビリティ2030」を策定し、主な指標目標として31年3月期の女性管理職比率21%、女性採用比率50%、男性育児休業取得率85%などを掲げた。25年3月には「MSJグループカスタマーハラスメントに対する基本方針」を制定した。また女子プロゴルファー前田羚菜選手と所属契約を締結した。企業理念に基づき若手選手の活動を支援する。
■26年3月期増収増益・連続増配予想
26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比6.2%増の490億円、営業利益が6.6%増の67億円、経常利益が6.4%増の68億円、親会社株主帰属当期純利益が11.8%増の49億円としている。配当予想は前期比5円増配の60円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は36.7%となる。
品目別売上高の計画は、システム導入契約売上高(フロー型)が横ばいの239億89百万円で内訳はハードウェアが2.6%減の54億19百万円、ソフトウェアが1.9%減の111億59百万円、ユースウェアが5.1%増の74億11百万円、サービス収入(ストック型)が13.2%増の209億01百万円で内訳はソフトウェア使用料が30.4%増の98億46百万円、TVS(会計事務所向け総合保守サービス)が0.7%増の26億31百万円、ソフト運用支援サービス(企業向けソフト保守サービス)が2.6%増の62億31百万円、ハードウェア・ネットワーク保守サービスが2.1%減の16億54百万円、サプライ・オフィス用品が0.8%増の5億38百万円、その他(関係会社)が10.9%増の41億07百万円としている。
主力ERP製品サブスクリプション契約社数は64.2%増の7000社、主力ERP製品サブスクリプション比率は30%台を目指す。なお全体のサブスク契約社数における低価格製品のユーザー比率上昇により、主力ERP製品のARPUは低下傾向となることを想定している。
26年3月期は増収増益・連続増配予想としている。新規顧客獲得による顧客基盤の拡大、サブスクリプション型への移行加速、アップセル・クロスセルなどを推進する。ソフトウェア提供の売り切り型からサブスク型への移行期間のため伸び率は小幅だが、安定したストック収益の積み上げに加え、ソフトウェア製品の償却負担減少なども寄与する見込みだ。サブスクリプション型への移行加速によってストック収益が積み上がることが予想され、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は調整一巡
株価は反発力の鈍い形だが、調整一巡して出直りを期待したい。6月6日の終値は1788円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS163円71銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS978円29銭で算出)は約1.8倍、そして時価総額は約578億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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