宇宙が138億歳であることを再確認 ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡で ESA

2024年3月16日 17:48

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セファイド変光星のハッブルとウェッブの眺めの比較(画像: ESAの発表資料より)

セファイド変光星のハッブルとウェッブの眺めの比較(画像: ESAの発表資料より)[写真拡大]

 現在の宇宙は138億歳というのが定説だが、実はハッブル宇宙望遠鏡が打ち上げられた1990年以前には、宇宙年齢は100億歳から200億歳の間という大雑把な値でしか語られることはなかった。というのも、宇宙空間の膨張速度を正確に把握するに足る光学性能を備えた望遠鏡がなかったからだ。その意味で1%以内の誤差で宇宙年齢を138億歳に絞り込んだハッブル宇宙望遠鏡の功績は大きい。

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 だが、ここ10年でこの値に疑問が投げかけられ、ハッブル宇宙望遠鏡の観測精度が疑問視される傾向にあった。例えば地球から200光年の距離にあるメトシェラ星は、142億7000万年とされ、宇宙年齢よりも古い。

 そんな状況の中、欧州宇宙機関(ESA)は11日、ジェームスウェッブ宇宙望遠鏡での検証の結果、ハッブル宇宙望遠鏡の観測の精度は、十分だったことを明らかにした。

 宇宙年齢は、地球からの距離の違いによる膨張速度の違いを、できるだけ多くの観測対象を用いて系統化し、宇宙の膨張率(ハッブル定数)を導き出して算出される。

 観測対象までの距離測定は、セファイド変光星を指標とする。この種の変光星は、一定の周期で明るさを変え、その周期と明るさ(絶対等級)に強い相関を持つ。そのため宇宙中にちりばめられているセファイド変光星の変光周期と見かけの明るさを求めれば、その星までの距離が分かり、赤方偏移の度合いを調べれば、その距離における膨張速度が分かるという仕組みだ。

 最近になり、この測定について誤差の入り込む余地が懸念され、宇宙年齢やその算出根拠となるハッブル定数に対する現在の定説が揺らぎかけていた。だがESAは、最新鋭のジェームスウェッブ宇宙望遠鏡による検証を実施し、ハッブル宇宙望遠鏡による観測結果の妥当性にお墨付きを与えたのだ。

 ただし、ハッブル定数から導出される宇宙年齢は、ビッグバン直後(10のマイナス36乗秒から10のマイナス34乗秒後までの間)のインフレーション的膨張を考慮したものではないことには、注意が必要だ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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