過疎の長野県阿智村商工会がメタバース商店街、生き残りかけて昭和レトロを再現

2023年8月22日 06:33

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AIが描いた阿智村のコンセプトアート(未来創世塾発表資料より)

AIが描いた阿智村のコンセプトアート(未来創世塾発表資料より)[写真拡大]

  • 昭和初期の阿智村の駒場宿の様子(未来創世塾発表資料より)

 長野県南部の山村・阿智村の商工会が、メタバース上に仮想商店街を展開する。制作サポートの委託を受けた地方創生コンサルタントの未来創世塾が明らかにしたもので、昭和レトロの街並みをデジタルで再現、阿智村の魅力に触れながら店舗を回ってもらう仕組み。メタバース商店街は10月に完成し、11月に地元でお披露目イベントを予定している。

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 メタバース商店街は、阿智村の昼神温泉出湯50周年の記念行事。メタバース上には、基幹産業だった養蚕業が盛んで、人口が1万人を超えていた昭和30年代(1955~1964年)の街並みをデジタル技術で再現する。AI(人工知能)によるコンセプトアートには、街道沿いに木造2階建ての商家が並ぶ懐かしい風景が描かれている。

 出店するのは、村内の製造業、飲食業、サービス業、小売業、旅館業の14事業所。昭和レトロの雰囲気を楽しむ来訪者に商品やサービスを売り込み、販路拡大を図る。7月から制作作業に入っており、10月に完成の予定。

 現在の阿智村は1956年、下伊那郡3村が合併して発足した。戦前から養蚕業と段々畑を利用した農業で栄え、1万人以上の人口を抱えていた。しかし、高度経済成長期に入って養蚕業の衰退とともに近隣の飯田市や愛知県へ人口が流出、過疎が進行する。

 約170平方キロある村の面積の約90%が山林。現在は阿智川、和知野川の流域と恵那山のふもとに点在する54集落に約5,800人が暮らしている。養蚕業に変わる基幹産業は昼神温泉を中心とした観光業で、星空観測の適地としてもマニアに有名だが、人口減少と高齢化が加速し、地域産業を取り巻く環境が厳しさを増している。

 今回のメタバース商店街には村の生き残りをかけた一面もあり、浜島弘尚阿智村商工会会長は「新技術を活用した販路拡大に期待している」とコメントしている。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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