神戸市、新長田南エリアで起業家募集 震災前のにぎわい復活へ官民協働

2023年6月10日 11:42

印刷

新長田シタマチスタートアッププロジェクトのスキーム(神戸市発表資料より)

新長田シタマチスタートアッププロジェクトのスキーム(神戸市発表資料より)[写真拡大]

 神戸市は長田区のJR新長田駅南エリアで空き家などを活用し、人を集めて交流の拡大を促す「新長田シタマチスタートアッププロジェクト」を始め、事業に参加する起業家の募集に入った。新長田駅南エリアは神戸市の副都心と位置づけられていたが、1995年の阪神淡路大震災で壊滅的な打撃を受け、震災前のにぎわいを取り戻せていない。神戸市は官民協働で苦境打開を目指す。

【こちらも】神戸・名谷駅の商業施設「tete名谷」、6月30日に第1期開業へ

 募集する起業家は飲食や物販、宿泊をはじめ、ものづくりも含まれる。応募内容を神戸市都市局で審査し、市が事業委託する事業者を決める。決定した事業者には起業準備や空き家など物件のマッチングから、起業に必要な費用の補助金獲得、コワーキングスペースの提供、取引先の紹介、広報宣伝活動など、起業後まで神戸市が伴走して切れ目のない支援をする。応募は神戸市ホームページからできる。

 新長田駅南エリアは震災前、下町情緒を残した商業地として栄え、神戸市総合基本計画で西部の副都心と位置づけられていた。しかし、震災で大正筋商店街の店舗の9割が全焼するなど、壊滅的な打撃を受けた。

 神戸市はマンションと商店街を一体化した「アスタくにづか」など再開発ビル20棟以上を焼け跡に建築し、復興を図った。その結果、約7万平方メートル近い商業フロアが新たに登場したが、買い手がつかないところが少なくない。

 兵庫県と神戸市が近くに新長田合同庁舎を整備し、看護師らを養成する兵庫県立総合衛生学院を移転するなどしたため、昼間の人通りは少し回復しつつあるものの、店舗の閉店や長く近隣に暮らしてきた人の転居が相次ぎ、震災前に目指した副都心にはほど遠いのが現状だ。(記事:高田泰・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事