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がん細胞は死ぬときに免疫細胞の抑制物質を放出 東大らの研究
今回の研究の概要(画像:東京大学報道発表資料より)[写真拡大]
東京大学、慶応義塾大学などは6日、がん細胞が壊死(えし)するときに、免疫細胞を強力に抑制する物質を放出することを確認したと発表した。この物質は、スペルミジンと呼ばれるもので、がん細胞内に代謝の結果として高濃度に蓄積。その産生抑制は、免疫チェックポイント阻害剤などに代表される、がんの免疫療法の効果を高める治療戦略として有望だという。
【こちらも】がん細胞が死ぬとき、遺されたがん細胞を免疫から守ることを発見 東大ら
■がん細胞は壊死時に免疫細胞抑制の物質放出
がん組織の内部は、血管の形成が不完全なために、低酸素・低栄養という過酷な環境で、がん細胞が次々に壊死している。
こうして壊死したがん細胞からは、さまざまな内容物が放出されるが、スペルミジンは、そのような内容物の1種だ。がん細胞の代謝の結果として生じる。
研究グループはこれまでも、がん細胞が壊死するときに放出されるその内容物に、がん細胞を殺傷する免疫細胞を強力に抑制する働きがあることを、明らかにしてきた。今回、その内容物を詳しく解析し、原因がスペルミジンであることを突き止めた。
■スペルミジンは免疫細胞を強力に抑制
研究グループがさらに解析を進めたところ、スペルミジンは、免疫細胞のコレステロールの合成を阻害することで、免疫細胞を強力に抑制していることを突き止めた。コレステロールは免疫細胞ががん細胞を殺傷するときに重要な働きを演じる。
そこでコレステロールを補充したところ、免疫細胞の働きが正常な状態と同程度まで回復することも確認されたという。
またマウスを使った実験ではあるが、スペルミジンの合成を阻害する薬エフロルニチンを投与したところ、免疫細胞が活性化し、がんの増殖を抑制。さらに免疫チェックポイント阻害剤が効きにくいマウスについても、免疫チェックポイント阻害剤の効果を増強することが確認された。
研究グループでは、スペルミジンの産生抑制は、免疫チェックポイント阻害剤などに代表される、がん免疫療法の効果を高める治療戦略として有望であるとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る)
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