成長階段を駆け昇る&割安企業:ロードスターに「美しい花の棘」はないと思うが!?

2023年3月10日 16:54

印刷

2022年には本社を移転した(ロードスターキャピタルの発表資料より)

2022年には本社を移転した(ロードスターキャピタルの発表資料より)[写真拡大]

 ロードスターキャピタル(東証プライム。以下、ロードスター)。2016年12月期から21年12月期までの6期間の、純益の年平均成長率は49.2%。凄まじい値である。

【こちらも】PBR0.52倍: アイナボHDの株価上昇に「割安株投資の父:グレアム氏」の影を見た!

 12年3月に僅か3名で設立されたロードスターの事業は、3部門。「コーポレートファンディング事業(I)」「アセットマネジメント事業(II)」、そして斯界の先達として力を注いでいるのが「クラウドファンディング事業(III)」。それぞれの概略を記しておくと、こんな具合。

「I」: 東京都市圏のオフィスビル・複合ビル・マンションを購入。管理運営を行う。一部の案件に関しては、一定期間後に付加価値(入居率・賃料etc)を高め売却する。

「II」 投資用不動産の戦略策定・物件の取得・所有時の収益管理・売却実施に一貫して対応。

「III」 2014年9月に、日本で初めて不動産投資に特化したクラウドファンディングを開始(貸付型)。集めた資金は不動産担保のローン型案件に投資し、リターンを還元。18年にはエクイティ型(投資型)も開始。

 そもそもロードスターに興味を持ったのは、冒頭に記した「49.2%」という数字を不動産関連の外資系証券のアナリストから耳にしたのがキッカケだった。PEGレシオという投資指標が頭に浮かんだ。

 PEGレシオの値は『予想PER÷過去ないしは今期予想を含む3期間のEPSの成長率』で算出する。そしてその値が「2以上なら買われ過ぎ」、「1以下なら株価が成長率に追いついていない、買いの検討余地十分」と判断される。ロードスターに当て嵌めてみた。『本稿作成時予想PER4.93(倍)÷今期予想を含む3期間のEPS成長率44.54(%)=0.11』。

 確認の上で、前期決算の資料を読んだ。

「I」: 7物件を売却、不動産投資売上高は前年度比39.1%増。そのうち2物件は売却後にアセットマネジメント事業を受託。継続的な収益を確保。7物件売却と並行し8物件を取得。大型物件売却で不動産賃貸売上高は9.7%の減収も、インバウンド需要を見据え6月に横浜で7月に半蔵門でホテルを取得。

「II」: 新規案件受託でAM事業は96.8%の増収。ちなみに年度末の受託資産残高は約510億円増の約800億円。

「III」: 33件:75億3300万円を融資。対して53億8300万円の償還。結果、営業貸付金は34.3%増と期初想定を上回った。

 好決算動向&今後の動向への基盤整備、が見て取れる。例えば昨年8月末のパーソル総合研究所の「コロナ対策とテレワーク」調査に関しても「オフィス回帰」を「動きが見られる」に対し、「当社が主力とする中規模オフィスビルでは中小企業のニーズが底堅く、稼働率に影響はないと考える」という姿勢を強調している。

 時価は1500円台半ば。予想税引き後配当利回り2.7%余。昨年来高値(2311円)から30%以上整理が進んだ状況にある。示される経営・投資指標は、過分に上々。上場(2017年9月)以降の修正値ベースの株価パフォーマンスは2.5倍強。判断は各位に委ねるが、「綺麗な花には棘がある」とも言うし・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事