ブラスの株価動向は、ブライダル市場の回復を意味しているのか!?

2023年1月11日 16:35

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 ブラス(東証&名証プライム)。直営の完全貸し切り型ゲストハウス方式で、ウェディング事業を展開している。

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 ブライダル事業は「コロナ禍で影響を受けた業種」にカウントされる。また、「少子化」との絡みが論じられたりもする。「結婚減⇔出生減」とする理屈だ。

 総務省の国勢調査では、1970年には1.7%だった男性の「生涯未婚化比率」が、2020年には25.7%に、女性も3.3%が16.4%に増加している流れは事実ではある。

 ブラスは確かに、コロナ禍に晒された。2020年7月期に9億8900万円の営業損失に転落。21年7月期は黒字転換も3億2700万円の営業利益にとどまった。が、22年7月期は損失前の水準を上回る8億7400万円を計上。そして今期はハワイウェディング事業や映像・写真・グラフィックデザイン事業を手掛ける子会社の連結化への移行もあるが、「16%の増収(132億3100万円)、27.6%の営業増益(11億1500万円)」計画。

 この限りでは、コロナ下の悪環境から抜け出したと見て取れる。事実、前期決算について同社ではこう語っている。

 「行動制限が解除されて以降、市場環境は明らかな回復が見えている。披露宴は概ね予定通りに実施。通期で過去最高の施行数の実施となった。単価もコロナウイルス感染症発生前と遜色なく推移した」

 「コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金や、感染症拡大防止協力金を営業外収益に計上したことで、経常利益は前年度比121.6%の増加となった」

 ただ話を耳にしながら、「ブラスは特異な施策で成長階段を駆け上がってきた、斯界のトップ。図抜けた例外的存在ではないのか」と考えた。

 だが一方で、こんな見方も知った。矢野経済研究所はこう発信している。

 ★2020年のブライダル関連市場は前年比約半額の1兆2708億円に落ち込んだが、21年には1兆4945億円にまで回復したと見込んでいる。

 ★22年の関連市場規模は、前年比109.7%の1兆6400億円を予測する。年初こそ感染拡大により不透明感も出ていたが、秋の婚礼シーズンに向けた予約は順調。1組当たりの施行単価に直接関係する招待人数も増加傾向にある。一方で少人数化の傾向はあるが、平均招待客数はコロナ禍前に近い水準への回復の期待がある。招待客数の減少の影響が最小限度で推移すれば、予測を上回る前年比2桁台の回復も見込まれる。

 ブラスの株価は昨年初旬の500円台前半からじりじりと値を戻し、晩秋から初冬に急伸1200円まで買われ時価は1000円台トビ台。ブライダル市場の環境推移を先取りする動きともとれるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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