翻訳センターのスタッフは優れた語学力の持ち主、してその実態は

2023年1月10日 11:08

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 翻訳センター(東証スタンダード)。「特許」「医薬」「工業製品」に関する企業向け技術通訳が主軸の、大手翻訳企業。年間の取引社数:4400社、取扱件数:5万4000件。対応言語は、世界の国と地域の80言語に及ぶ。

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 学生時代はドイツ語を選択。だがいま頭に残っているのは、英語に置き換えると「I LOVE YOU」「I HAVE A BOOK」程度。

 それ故にまずもって興味を覚えたのは、「翻訳センターで働くにはいかほどの語学力が必要か」だった。例えば、英語。日⇔英間の医薬品説明の校正作業に係るには、英語検定で知られるTOEIC(国際ビジネスコミュニケーション協会、900点満点)で840点以上。あるいは「(日本英語検定協会)の、英検準1級以上」のスタッフが担当しているという。

 前者では「840点は自慢できる点数」とし、後者では「大学でしっかり学んでいれば準1級は可能」とした。そうした資格にとどまらず、「知的財産翻訳検定1級」「弁理士資格保有者」「特許事務所実務経験者」etcを合わせて保有するスタッフが実務に当たっている。ちなみに翻訳事業に携わっている員数は2022年3月期末で「社員+一時従業者」―計411名。

 業務からして経済(経営)環境が停滞すれば、収益は落ち込む。現に2021年3月期は「14.1%減収、48.5%営業減益、61.4%最終減益」。それがコロナ禍の影響の軽減を反映し22年3月期は「4.3%増収、94.0%営業増益、387.0%最終増益、20円増配40円配」。そして今期も中間期開示と同時に上方修正し「7.3%の増収(111億円)、18.3%の営業増益(9億6000万円)、13.4%の最終増益(6億5000万円)、5円増配45円配」計画。

 立ち直りの契機となった前期の決算書類に目を通すと、主軸の翻訳分野にはこんな記述が目に入る。

 「特許分野では主要顧客の特許事務所への売り上げが好調に推移し・・・医薬分野では国内製薬企業の順調な取引に加え外資製薬会社からの受注が順調に推移・・・金融・法務分野では管理部署からの受注が順調、また保険会社からの大型案件の受注やIR関連資料の受注増加も貢献。自動車・機械などの製造業の需要が緩やかな回復傾向入りとなった」。

 有価証券報告書の翻訳には、英文IRに実績を積んでいるプロネクサス(東証プライム)とシステムを共同開発にことに臨んでいる。また需要増の動画翻訳にも注力。

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