人材アウトソーシング:ウィルグループを投資対象に、と思う理由

2022年11月29日 11:21

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 ウィルグループ(東証プライム)の大原茂社長をZoomで取材する機会を得た。人材派遣や業務請負等の人材サービスを展開している。上場は2013年12月19日。IPO初値で買い約9年近く保有していると、修正値ベースで株価パフォーマンスは4倍弱。時価の予想税引き後配当利回り2.7%弱。斯界では後発ながら、投資妙味を覚えさせる企業である。

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 業務内容は、こんな具合だ。

 例えば、『ファクトリーアウトソーシング』。食品製造業などの生産工程での技術・人材・人材管理を提供。製造・検査・品質管理・仕分け・梱包などのスタッフ派遣を、ハイブリッド派遣として展開。ハイブリッド派遣とは「迅速かつ的確に顧客ニーズに対応するために、自社社員と派遣スタッフがチームとなって働く」こと。「後発ならではの差別化戦略でもある」(大原氏)。

 ウィルグループに関心を抱いたのは「経済状況」を反映する企業と捉えたからであり、かつ収益動向である。

 収益動向は2022年3月期以降、明らかな変化を示している。前3月期は「10.9%増収、35.8%営業増益、43.9%最終増益、10円増配34円配」。今期も「6.8%の増収(1400億円)、2.3%の営業増益(56億円)、0・4%の最終増益(38億7000万円)、10円増配44円配」計画で立ち上がった。

 そして中間期は営業利益「29億3400万円(予想:22億5000万円)」に顕著に見て取れるように「上方修正も・・・」と感じさせる快調さ。現に手元の四季報は通期を既に【独自増額】している。大原氏は「下期のコロナの8波動向など不透明要因を勘案した上で」としたが、天邪鬼な私は「上方修正しなくても中計の最終年度計画=今3月期通期予想の達成は揺るぎない」が故の据え置きと解釈した。8波はピークアウト傾向に入っている!?

 そんなウィルグループが目下注力しているのが『スタートアップ人材支援領域』であり、『建設技術者人材サービス領域』。

 前者は成長が期待できる企業に特化した情報プラットフォーム【STARTOUP DB(データベース)】を活かし、地歩を固めている。後者は、先行する企業にどう対峙するかが課題。

 だが大原氏は、自信を示した。中間期決算資料の「建設技術者領域の進捗」とする項目を基に、こう説明した。「前期から今期中間期までで、新卒社員・経験者中途採用数は430人増えている。かつ定着率は累計75%。大手企業の離職率増を勘案すると追い上げの態勢は整ったと捉えている」。

 株式投資の観点からは、「値付き率(流動性)問題」「10倍弱の低予想PER」等の課題は残る。対して大原氏は「M&Aで業容拡大を図ってきた結果、手元CFの低さ、更には財務面の問題などは承知している。対応に努める。着実に業容を深耕しながら総還元性向30%を目指していく」と前向きな姿勢を強調した。

 ウオッチしたい企業である。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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