【映画で学ぶ英語】『カサブランカ』の映画史に残る名言

2022年11月4日 11:42

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 第2次世界大戦中の1942年に製作・公開された映画『カサブランカ』は、激動の時代を背景にしたロマンス・ヒューマンドラマ。主演のハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンの名演技、数々の名セリフと忘れられない主題歌で、映画史に残る傑作となった。

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 今回はこの映画から、日本では「君の瞳に乾杯」という名訳で知られるセリフの意味を解説する。なお、この記事は映画のネタバレを含むため、未鑑賞の人は注意されたい。

■映画『カサブランカ』のあらすじ

 舞台は1941年12月、北アフリカ・モロッコの港街・カサブランカ。この街は、フランスがドイツに降伏した後に成立したヴィシー政権の支配下にある。

 主人公のリック(ハンフリー・ボガート)は、カサブランカでナイトクラブ兼賭博場を取り仕切るアメリカ人。彼は表向き戦争に無関心なように振る舞っている。だがリックには、エチオピアやスペインの反ファシストや反ナチス勢力を支援した過去があった。

 そんなリックの店にある晩、彼がパリにいたときの恋人・イルザ(イングリッド・バーグマン)が突然やってきた。前年ドイツ軍がパリに近づいたとき、彼女はリックに何も言わずに消息を絶っていたのだ。

 イルザは、ナチスに迫害されるチェコのレジスタンスのリーダーと結婚していた。彼女は夫と一緒に中立国・ポルトガルに逃げるため、リックに協力を求める。

 しかし、久しぶりに再会したリックとイルザの間にかつての愛情が蘇り、2人の想いは激しく揺れることになるのだった。

■映画『カサブランカ』の名言

 Here’s looking at you, kid. - 「君の瞳に乾杯」

 高瀬鎮夫による名訳で知られるこのセリフは、この映画の中で4回使われている。

 最初はつかの間の幸福なパリ時代をリックが思い出す場面で、その次にイルザとカサブランカで再会する場面でも同じセリフが使われる。どちらのシーンも乾杯の言葉としてピッタリの雰囲気だ。

 3回目は映画の終盤に差し掛かったところ。誰もいないリックの店で、イルザがリックへの変わらぬ想いを告白する場面である。このときリックは、酒の入ったグラスを手にしてこのセリフを言う。

 最後は空港でリックがイルザの背中を押して、夫とともに逃げるよう説得するときのキメゼリフとして使われている。

■表現解説

 それではこのセリフがなぜ「君の瞳に乾杯」と訳されるか、原文を分解して解説したい。

 まず「here’s」は、何かを指して「これは~である」と紹介するときや、乾杯の言葉の一部として使われることが多い。例えば結婚式で「新郎新婦に乾杯」という場合、「Here's to the newlyweds!」となる。

 次に「look at someone/something」は、「誰か/何かを見るために、その方向に目を向ける」ことを表す。

 最後の「kid」は、年上の人が年下の人に、親しみを込めて呼びかけるときに使う単語である。

 つまりこのセリフは、年下の親しい相手を見つめていることを表す言葉、あるいは見つめながら乾杯するときの言葉なのだ。「君の瞳に乾杯」は、「相手を見つめる」という行為を「君の瞳に」と簡潔に表現した、絶妙の翻訳と言えよう。

 だが、「Here’s looking at you」という言葉には、「乾杯」以外の意味がいくつかある。このことについては、別の機会に説明したい。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る

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