宇宙由来のダイヤモンド「ロンズデーライト」の起源に迫る 豪州RMIT大学ら

2022年9月14日 07:42

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RMITの研究施設でユレイライト隕石のサンプルを分析する科学者たち。(c) RMIT 大学

RMITの研究施設でユレイライト隕石のサンプルを分析する科学者たち。(c) RMIT 大学[写真拡大]

 ダイヤモンドは最も硬く、高価な宝石だが、そのなかでもロンズデーライトと呼ばれるダイヤモンドは宇宙に起源を持つ。一般的なダイヤモンドが等軸晶構造を持つのに対して、ロンズデーライトは六方晶構造を持ち、高純度のものはダイヤモンドよりもさらに高い硬度を示す。

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 ウィキペディアによれば、「ロンズデーライトは、バリンジャー・クレーター(米国アリゾナ州)を作った隕石の一部キャニオン・ディアブロ隕石から、1967年に初めて発見された」とされる。その生成原因は「隕石が地球に衝突した際の巨大な熱と圧力によって、隕石中のグラファイトの構造が変化し生成される」と、説明されている。

 豪州RMIT大学は13日、準惑星のマントルを起源とするユレイライト隕石中に、ロンズデーライトの存在を確認したと発表した。これは豪州モナッシュ大学、RMIT 大学、豪州連邦科学産業研究機構、豪州シンクロトロン、英国プリマス大学の科学者らによる共同研究の成果で、9月12日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)で研究論文が公表されている。

 研究では、ユレイライト隕石から抽出した無傷の固体スライスサンプルのキャプチャー画像から、ロンズデーライトと通常のダイヤモンドの形成プロセスを示す、新たな有力な証拠を得ている。

 それは壊滅的な衝突の直後に小惑星で起こった超臨界化学蒸着により、工業用化学蒸着に似ているが、より高い圧力(1~100バール)の下で形成されたと考えられている。この研究成果は非常に高い硬度を持つ、人工ロンズデーライトの製造技術に役立つ可能性があるという。

 ユレイライト隕石は、地球が誕生して間もないころ、つまり今から約45億年ほど前に準惑星と小惑星が宇宙空間で衝突。その際に準惑星のコアが粉々になり、漂っていたものが、地球の引力に捉えられ、隕石として降り注いだものだ。太陽系がまだ混とんとしていたころ、ロンズデーライトは形成され、45億年の歳月を経て、人類に見いだされ、その価値が明らかにされつつあるいわばタイムカプセルともいうべきものなのだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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