農業を副業にするなら花を育ているのがおすすめな理由

2022年8月26日 08:12

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 副業で農業を検討している人は、作物選びで悩んでいないだろうか。本記事では、副業農業に花を育ているのがおすすめな理由について紹介する。

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■花き栽培は高い収益率がメリット

 副業農業に花がおすすめな理由のひとつには、利益率の高さが挙げられる。2020年に農林水産省が発表した「令和2年農業経営体の経営収支」によれば、露地花き作の農業収益率は27.8%だった。農作物の栽培には、自然を利用して屋外で行う露地栽培と、ハウスなどを用いる施設栽培がある。露地栽培で比較すると、野菜の農業収益率は22.9%で花き栽培の方が収益率が高い。

 施設栽培での比較では、花に比べ野菜の方が農業収益率が大きい。だが作付面積の大きさにより農業収益率は異なる。加えて、近年はハウスの設営で必要なパイプに用いる鉄などの資材高騰により、野菜か花かに関わらず施設栽培は初期費用の負担が大きい。そのため副業として検討している農業初心者には、露地栽培の方が行いやすく、さらに花なら利益率が高いメリットがあるのだ。

 育てる花選びについても、プロ向けのものを見分ける必要がある。調査自体が終了しているため古い資料になるが、農林水産省は2007年に品目別経営統計を発表している。これによれば、花農家において年収が高かった品目は、1位がバラ、2位が菊、3位がカーネーションだった。

 こうした統計を見ると利益率の高い花き栽培では、バラや菊を選ぶのが合理的と思うかもしれない。しかしバラや菊は同じ時期に開花しやすく、集中的に収穫しなければならないため、副業農業には向いていないのだ。副業で選ぶなら、手間がかからないカーネーションが、おすすめである。

■初心者が農業の副業で収入を得るのは難しい

 副業農業としての花き栽培のデメリットには、扱いの難しさが挙げられる。花き栽培は野菜と同じかそれ以上に害虫への対処が必要となり、気候の変化による影響を受けやすい繊細さがある。そして、日常的に潅水といった作業が欠かせない。そのため、手のかからない花を選ぶことが重要なポイントとなるのだ。

 また、食べることで消費される野菜と目的は異なるものの、花にも同様に安定した需要がある。だが花は、野菜以上に品質の高さが求められるため、農業初心者が流通レベルにするのは簡単ではないだろう。

 熱意さえあれば、花き栽培で農業の副業を始めることは可能だ。だがひとりで全てを行うのではなく、自治体の支援を受けたり、働き方を変えてみることで自分に合う副業を見つけられる場合もある。2022年4月、長野県は自治体として農業の生産活動を副業の対象とすると明示した。同時に、都道府県レベルでは初めて県職員が農業を副業にすることも許可している。

 長野県ほどではないが、積極的に農業に副業人材活用を推進するのは、全国的に珍しいことではない。農業の担い手不足は全国的に大きな問題となっており、副業人材の活用はこれを解決する手立てのひとつとして期待されている。

 先述したように、花き栽培は日常的な作業が欠かせないため、パートタイムの担い手も需要が高い。求人サイトで検索しても花き栽培の仕事は多く、週末農業をアルバイトとして副業にすることも可能なのだ。花き栽培に限らず農業の副業を検討するとき、農地の確保を連想するかもしれない。しかし、もっと手軽にできる農業の副業から始めるのも負担が少ないのでおすすめだ。(記事:西島武・記事一覧を見る

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