サッポロと日清食品、ビールと即席麺を組み合わせた共同輸送開始

2022年2月19日 09:44

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ビール樽と即席麺を混載し、積載率を高めつつ100%の実車率を叶える(画僧はサッポロホールディングス発表資料より)

ビール樽と即席麺を混載し、積載率を高めつつ100%の実車率を叶える(画僧はサッポロホールディングス発表資料より)[写真拡大]

 サッポログループ物流(東京都渋谷区)と日清食品(東京都新宿区)は、ビールと即席麺を組み合わせた共同輸送を、3月2日から開始する。実施する区間は静岡から大阪。トラックの使用台数を約20%減少でき、CO2の排出量も年間約10トン削減できる試算だ。

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 往路はサッポロ静岡工場でビール樽を積載し、日清静岡工場に立ち寄って即席麺製品を積載。両社の大阪にある倉庫まで運ぶ。

 これまでは、重量の大きいビール樽を最大積載量まで積み込んでも、荷台の上部に空きスペースが生じていた。また、日清食品の即席麺は容積いっぱい荷積みしても、積載可能重量に余裕があった。そこで、ビール樽の上部に即席麺を積み込むことで、重量と容積の両面で100%近くの積載率を実現する。

 復路に関しても、サッポロの空き容器と、日清食品の空きパレットなどの資材を混載して運ぶ。積載率を高めつつ100%の実車率を叶える「ラウンド輸送」のスキームを確立した格好だ。

 サッポロは「サッポロロジスティクス★人づくり大学」を2019年に、日清食品は「SCM Academy」を2020年に立ち上げ、次世代のロジスティクス人材の育成や、物流クライシスへの対応などの課題解決に取り組んできた。その中で受講生同士の交流が発生。ラウンド輸送は、各社の受講生のアイデアをベースに立ち上げたものだ。

 昨今、ネットショッピングの利用拡大などの影響で配達物量が急増。少子高齢化による人口減なども重なり、作業員やドライバーなどの不足も深刻化し「物流クライシス」「宅配クライシス」と言われ問題視されている。

 また、車両による貨物輸送は温室効果ガスの排出などの問題もあり、環境負荷低減の観点からも効率化や省力化が求められるようになっている。各社とも配送ルートの精度を上げたり、最適な配車計画にAIを用いて高度化するなど試みている。サッポロと日清食品は今後も協力体制を敷き、物流に関するこうした課題の解決と、SDGsの達成に貢献していくと言う。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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