新NISAはお得か?損か?

2021年11月19日 16:15

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 NISA(少額投資非課税制度)が2024年から改正され、新NISAとしてスタートする。NISAは、株式投資や投資信託で得られた譲渡益や配当金に対する課税(20.315%)が、一定期間・一定額まで非課税となる制度だ。

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 ジュニアNISAは2023年12月末で終了となるが、つみたてNISAは継続され、2037年までだった口座開設可能期間は、2042年まで5年間延長となる。

 一般NISAは、新規で投資できる期間が5年間の延長により2028年までとなる。一方で投資先の制限が加わり、2階建て構造となる。1階部分は、つみたてNISA同様に金融庁の定める条件をクリアした投資信託・ETFに限られ、投資上限は年間20万円だ。

 2階部分は、現状の一般NISA同様となるが、監理銘柄・整理銘柄など一部除外される商品もある。こちらは年間102万円が上限となる。原則として、1階部分に積立投資を行わなければ、2階部分には投資できない。

 ただし、投資経験者などは申請することで1階を飛ばして、2階から投資をすることもできる。

 今回の改正は、より長期的で安全な投資を促すことが目的だが、投資家としてはどう受け止めればいいのだろうか?

●NISAが作られた背景

 NISAは、人生100年時代を見据え、家計の安定的な資産形成を目的として、2014年から導入された。

 2016年には子どもの資産形成を目的としたジュニアNISA、2018年から長期投資を目的としたつみたてNISAが導入された。

 政府広報によると、日本では金融資産ゼロ世帯が約3割(2016年)を占めており、国内の家計金融資産1700兆円のうち半数が預貯金だ。NISA導入によって、“貯蓄から投資”への流れを促進するとしている。

 家計から企業への資金供給により、経済成長や家計の潤い、さらなる投資という好循環を狙っている。

●改悪との批判も

 新NISAは1、2階合わせて、非課税枠は122万円(従来の一般NISAは120万円)と微増した。

 ただ、1階部分は投資信託などに制限されるため、個別株への非課税枠は102万円と、実質減額したことになる。制度が複雑化することにより、投資へのハードルが上がるのではという懸念もある。

 そもそも、投資信託への長期投資を促進しているが、投資信託には手数料がかかり、リスクもある。まだまだ海外と比べて投資後進国の日本が、NISA制度の浸透だけで、貯蓄から投資へと変貌を遂げることは難しそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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