ボックス型カラオケは、第一興商の救世主になるか!?

2021年8月26日 16:13

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「COCOKARA」(画像: 第一興商の発表資料より)

「COCOKARA」(画像: 第一興商の発表資料より)[写真拡大]

 カラオケ業界最大手の第一興商が、新型コロナウイルス禍にもがき苦しんでいる。それは前期決算・今期計画に顕著。前期は「36.2%の減収、26億9300万円の営業損失、187億8200万円の最終赤字」。二本柱の「業務用カラオケ」「カラオケ(ビッグエコー)・飲食店舗」がそれぞれ「20.4%営業減益」「120億8800万円の営業損失」。新型コロナウイルス関連損失、店舗の固定資産およびのれん代減損損失を「特損計上」した。

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 そして今期は「出を抑え、入りを増やす」としコインパーキング事業の拡充/人件費・販管費圧縮を前提に、「22%の増収(1138億円)、営業利益黒字転換(16億円)」計画で立ち上がった。が、第1四半期開示と同時に、「コロナウイルス禍の影響が見通せず」という理由から「期初の中間期・通期予想を白紙撤回」とした。

 カラオケボックス市場自体が「縮小傾向にある」とする見方も、確かにある。例えば日本生産性本部の『レジャー白書2020』では、こう記されている。「2019年のカラオケボックス市場規模は3800億円で前年比1.0%減少した。11年から15年までは5年連続で増加したが、16年から4年連続減少した。96-97年のピーク時に比べ6割弱に縮小している。カラオケ人口の減少に加え、娯楽の多様化が進んだことが背景にある」。

 こうした客観的な事実は、受け止めなくてはなるまい。だが最大手の第一興商がコロナ禍もさることながら、時流を「仕方がない」と受け止めてしまうわけにはいくまい。前期の決算短信でも語っているように、「介護施設などで高齢者の機能訓練でカラオケ需要は拡充している」ことも事実。新たな市場開拓を進めるのも必須といえる。「新たな市場」を調べていく中で以下の様な事実を知った。

 第一興商は19年に「COCOKARA」を開発している。ボックス型カラオケ。高さ240cm、幅・奥行150cmというスマートさ。エンターテイメント施設や商業施設のパブリックスペースなどへの納入実績がある。


 そんなCOCOKARAが7月、関東鉄道常磐線の下妻駅と下館駅に(ともに茨城県)お目見えした。詳細は省くが関東鉄道は「イベント上手な鉄道」として知られる。第一興商の販売子会社の常磐第一興商側から導入を打診した。鉄道側の「乗客が電車の待ち時間を楽しめるコンテンツの提供を」という想いと合致した。

 1曲100円。時節柄感染症対策も徹底した。徹底した除菌清掃。アルコールシートなど除菌グッズが常備。未使用時にはドアを開けサーキュレーターを使って換気etc。

 第一興商では「福利厚生の一環として導入しているオフィスもある。気分転換やストレスの発散で業務効率も上がる」と強調し、「密にならない個室カラオケボックスとして普及に力を・・・」と展開を見据えている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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