安価なCO2センサ、多くが粗悪品 見分け方は? 電気通信大の研究

2021年8月16日 07:56

印刷

調査に使用した実験装置(電気通信大学の発表より)

調査に使用した実験装置(電気通信大学の発表より)[写真拡大]

 電気通信大学の研究グループは10日、新型コロナウイルス感染症の対策用として、ECサイトで販売されている5000円以下の安価な二酸化炭素濃度測定器(CO2センサ)の精度を検証したところ、全体の約6割がCO2に反応していないことが分かったと発表した。

【こちらも】新型コロナ、抗ウイルス薬が効かない理由 発症後2日が勝負 九大等が解明

 無反応センサの67%は、全て消毒用アルコールに反応する現象がみられ、研究グループは、CO2濃度を擬似的に表示する粗悪品が市場に出回っている可能性を警告している。

 研究は、新型コロナ感染症の拡大防止対策として室内のCO2濃度の計測、可視化が注目されるなか、市場に流通するセンサが正しく動作しているかを確かめる目的で実施。

 大手ECサイトで購入した2900~4999円のCO2センサ12台に加え、T&D社製研究センサとCHCシステム社製の産業用センサを同時に測定。アクリス水槽にセンサを封入して水槽内CO2濃度を変化させて表示値を記録した。

 その結果、3機種(25%)は低精度ながらも正しい調整によって感染症対策に利用できた一方、8機種(67%)はCO2に反応せず、アルコールや雑ガスといったCO2以外の物質を測定する擬似的なセンサであることが判明。残る1機種(8%)は故障だった。

 旭化成グループのセンスエア社によると、CO2センサは、非分散型赤外線吸収法と呼ばれる、赤外放射吸収の原理に基づき、分子が放射する周波を解析して分析する。選択された分子の共振波長と一致するスペクトル領域内で、吸収される光の量を検出し、CO2か否かを測定するという。

 今回の研究では原因が明らかにされなかったが、擬似的なセンサは、周波を解析して分析する測定器に何らかの異常があるとみられる。この異常が、意図的なものかどうかは不明だ。

 これらを踏まえ、研究グループは、誤ったCO2濃度を表示するセンサを用いると、センサが過小な値を表示して適切な換気や行動変容が起きないと指摘。逆にCO2濃度の過大表示によって利用者がセンサの表示を無視するオオカミ少年効果が生じてしまうという。

 研究グループは、購入したCO2センサがCO2濃度を正しく測定できているかを簡易的に確認する方法として、屋外の新鮮な空気のなかで、400ppm前後を表示するか確認▽センサに息を吹きかけた時、濃度が取扱説明書に示された測定限界値まで上がるかどうかを確認▽消毒用アルコールを吹き付けた手をセンサに近づけ、CO2濃度が上昇しないことを確認ーの3つの方法を提案している。(記事:小村海・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事