1~5月の飲食業倒産は270件、前年比減もコロナ関連が4割超 東京商工リサーチ調査

2021年6月8日 07:23

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 東京商工リサーチが2021年1月から5月における飲食業の倒産動向を調査し、倒産件数自体は前年から減少した一方、新型コロナ関連の倒産件数が大きく増えていることが分かった。

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■倒産件数は減少も新型コロナ関連の倒産が増加

 7日、東京商工リサーチが2021年1月から5月における「飲食業の倒産動向調査」を発表した。同期間における負債1,000万円以上の飲食業の倒産件数は270件で、これまでに最も多かった2020年(年間の倒産件数:842件、同期間の倒産件数:320件)と比較して15.6%減だった。自治体などからの給付金や協力金の効果が減少の要因となった。

 ただし同期間における新型コロナ関連の倒産件数は123件で、全体の4割以上を占め、前年同期の19件から6倍超に大きく増加している。倒産全体における新型コロナ関連の倒産の割合は20年10月に33.3%(月の倒産件数:75件、うち新型コロナ関連の倒産件数:25件)となって以降に高い水準で推移しており、21年4月には53.7%(同54件、29件)にまで増加した。

■倒産の原因は「販売不振」が87.4%

 業種別の倒産件数で最も多かったのは日本料理店や中華料理店などの「専門料理店」で71件(前年同期比19.3%減、以下同じ)だった。以下は「酒屋、ビヤホール(居酒屋)」が69件(2.9%増)、「食堂、レストラン」が45件(34.7%減)などが続いている。

 中でも「酒屋、ビヤホール(居酒屋)」では倒産件数69件のうち43件(全体の62.3%)が新型コロナ関連の倒産となっており、緊急事態宣言により時短営業が求められているため深夜の営業が困難なことに加えて、酒類の提供を禁止されたことで一段と厳しい状況に陥っている。

 倒産の原因で最も多かったのは「販売不振」で236件(同87.4%)。以下は「既往のシワ寄せ」が11件、「事業場の失敗」が7件などとなっており、新型コロナを原因とした外食自粛、時短営業の要請、酒類提供の禁止などが影響していると考えられる。

■新型コロナが長引けば「息切れの懸念」も

 都道府県別で最も倒産件数が多かったのは大阪府の46件。以下、東京都(36件)、兵庫県(17件)、愛知県(16件)、福岡県(14件)、神奈川県(10件)、埼玉県(10件)と続く。一方、福島県、山梨県、三重県、岡山県、徳島県で同期間の倒産件数はゼロだった。

 前年同期比で倒産件数が増加したのは福岡県、埼玉県、茨城県(9件)、京都府(9件)など20府県。減少したのは大阪府、東京都、愛知県、神奈川県など19都道府県。前年比で倒産件数が変わらなかったのは富山県(5件)、和歌山県(4件)など8県。

 他の業種と比較して初期投資が少額で済む飲食業は小規模や零細規模の企業や経営者が多いため、自治体などからの給付金などで一時的な延命が可能ながら、新型コロナウイルスの影響が長期に至ることでさらなる倒産につながる可能性も大きく「息切れの懸念が強まっている」。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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