20年度上半期の倒産は低水準もサービス業の苦境続く 東京商工リサーチ調査

2020年10月11日 08:09

印刷

 東京商工リサーチが9月度の倒産状況を発表。2020年度上半期累計では件数や負債総額は低水準に留まったものの、新型コロナウイルスの影響もあってサービス業の厳しい状況が続いていることが分かった。

【こちらも】コロナ関連の破たん579件に 増勢衰えず 東京商工リサーチ

■倒産件数、負債総額とも減少続く

 8日、東京商工リサーチが2020年9月度の倒産状況(負債額1,000万円以上)を発表。倒産件数は前年同月比19.5%減の565件となり、3カ月連続で減少が続いている。また9月度としては1991年以降の30年間で最も少ない倒産件数だった。負債総額は同37.3%減の707億4,000万円となり、2カ月連続で減少となった。倒産件数と同様に1991年以降で最も少ない金額となっている。

■6業種で件数、負債総額ともに減少

 9月の産業別倒産件数で最も多かったのはサービス業他の200件(前年同月比6.10%減、以下同じ)。ついで建設業が83件(28.44%減)、小売業が78件(24.27%減)、卸売業が65件(31.57%減)、製造業が65件(31.57%減)などとなっている。それらの業種を含めて10業種中6業種で減少した。

 負債総額が最も大きかった産業は不動産業の187億500万円(約7.3倍)。これは兵庫県で賃貸業などを営むANGELO(負債総額125億3,700万円)があったため。ついで製造業の113億3,600万円(58.46%減)、サービス業他の107億800万円(39.55%減)、建設業の86億5,200万円(23.50%減)、小売業の79億2,900万円(12.69%減)、卸売業の75億5,100万円(81.13%減)などとなっており、こちらも10業種中6業種で減少となっている。

■上半期の倒産件数、負債総額は低水準に留まる

 2020年度上半期(4~9月)における倒産件数は前年同期比9.3%減の3,858件となり、1990年度上半期(3,070件)以来の3,000件台となるとともに、1991年度以降で最も少ない倒産件数だった。負債総額は5,991億1,900万円で前年同期の5,948億7,200万円から0.7%増となり、3年ぶりに増加したものの、1991年度以降では2番目に少ない額となっている。

■サービス業は倒産件数が増加

 産業別で最も倒産件数が多かったのはサービス業他の1,306件(前年同期比0.38%増)で、唯一1,000件を越えた。新型コロナウイルスの影響が大きかった飲食業(前年同期:411件→今期:436件)、宿泊業(同28件→71件)などにより、5年連続で前年同期より増加している。

 ついで建設業が565件(前年同期比22.70%減、以下同じ)、小売業が544件(15.91%減)、卸売業が519件(10.36%減)、製造業が448件(13.34%減)など続き、10業種中6業種で減少した。負債総額が最も多かったのもサービス業他で2,060億800万円(40.84%増)。ついで卸売業が886億5,000万円(32.19%減)、小売業が817億5,400万円(2.43%増)、製造業が803億6,400万円(25.72%減)、不動産業が420億2,700万円(92.89%増)などとなっている。

 上半期における大型倒産では、大阪で旅行業を営むホワイト・ベアーファミリー(負債総額278億円、以下同じ)の他、WBFホテル&リゾーツ(160億円)、レナウン(138億7,900万円)、ANGELO(125億3,700万円)、エターナルアミューズメント(84億円)などがある。
 

■9地区中7地区ぜで減少

 都道府県別で最も倒産件数が多かったのは東京都の651件。ついで大阪府が582件、愛知県が283件、神奈川県が227件、兵庫県が217件、埼玉県が161件、福岡県が139件、京都府が117件、静岡県が110件、千葉県が108件と続き、ここまでが100件超え。

 少ない県では鳥取県が10件、宮崎県が14件、山形県、高知県、沖縄県が各15件、山梨県、香川県が各16件、青森県、島根県が各18件、岩手県が19件と続き、ここまでが10件台に留まっている。地区別では中部と中国が前年同期から増加したが、それ以外の7地区で減少となっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事