5年先まで使える広告代理店的プレゼンテーション術 (40)

2020年9月22日 17:12

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 9月に入り、会社では中間面談や中間査定、少なからず異動もある時期です。ここらで、ご自身の「リフレクション」をして現時点のバリューを確認してはいかがでしょうか。自分で自分の行動を振り返り、自発的に修整・改善し、期末に向けてプロセスを再構築することで生産性を上げていくのです。但し、これはご自身の役割・ポジションの意味性を正しく認識している方に限り、有効な内省方法になります(3カ月毎のリフレクションをお勧めします。半年に1度では、リカバーするには遅すぎるタイミングです)。

【前回は】5年先まで使える広告代理店的プレゼンテーション術 (39)

 たとえば、あなたがチームを率いる「リーダー」だとします。どのようなリーダーシップを発揮した半年間でしたか? それは下記の行動のうち、いくつ当てはまりますか?

 1.公平性を重んじて、常にチームメンバーと合議制で採決し進行したか?

 2.チームの力を最大化するために、チームの和を最優先したか?

 3.他部署の判断・方針に口を出さず、自分の目標と向き合い続けたか?

 4.無用な摩擦を起こさず、マネージャーやコーディネーターとして機能したか?

 5.外部からやってきた変化や与えられた目標に巧く対処できたか?


 もし、これらを達成できているあなたは……現在、何も達成できていません。これでは「思考停止の段取り屋」「納品モードおじさん」です。まさにバリューゼロ。「リーダーシップ」を漠然と「まとめ役」という「刷り込まれた行動様式」の1つと誤解していないでしょうか。

■(42)リーダーとは未来に向けて決断をし、結果責任を問われる人

 リーダーは努力でもプロセスでもなく、結果だけが問われます。まず、リーダーは成果目標(ゴール)をメンバーに定義し、共有させます。そして、「リーダーシップの具体的な基準」を作り、皆に開示し、プロジェクトを遂行していきます。メンバーが個々でリーダーシップを発動してこそ、より視点の高い成果を速く挙げることができるのです。

 では、あらためて「リーダーの基準」を見ていきましょう。

 1.リーダーとは常に先頭を走る人で、見守る役ではない。最初に方向性を決め、勝算がある戦略を決断する。メンバーへの公平性などは不要だが、説明責任は生じる。

 2.高次の成果を得るための対立は必要。忖度の「和」から新価値は生まれない。

 3.企業の利益最大化を何よりも最優先する。ゆえに他部署の案件でも議論を持ち掛け、成果の向上を図る義務がある。但し、社内競合の場合を除く。

 4.マネージャーは「人の管理」。コーディネーターは角が立たないように交渉する「調整役」。どちらも、成果達成とリーダーシップには全く無関係なファクト。

 5.リーダーとは変化への対応力が高い人ではない。社会や組織に変化を起こす力のある人のことを指す。

 これらのリーダーシップはスキルです。洗練された人材育成の仕組みと高次の実戦の場さえ与えられれば、誰でも習得可能です。私自身もマッキンゼーの研修を受け、強烈なリーダーシップを持ったクリエイティブディレクターと協働し、その多くの学びから自分なりにバリューを生み出してきました。

 さて、あなたの会社にリーダーは存在しますか? あなた自身はどうですか? ぜひ、リフレクションしてみてください。

著者プロフィール

小林 孝悦

小林 孝悦 コピーライター/クリエイティブディレクター

東京生まれ。東京コピーライターズクラブ会員。2017年、博報堂を退社し、(株)コピーのコバヤシを設立。東京コピーライターズクラブ新人賞、広告電通賞、日経広告賞、コードアワード、日本新聞協会賞、カンヌライオンズ、D&AD、ロンドン国際広告祭、New York Festivals、The One Show、アドフェストなど多数受賞。日本大学藝術学部映画学科卒業。好きな映画は、ガス・ヴァン・サント監督の「Elephant」。
http://www.copykoba.tokyo/

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