逆境の日本に忍び寄るハイパーインフレと悪い円安 前編

2020年5月24日 16:44

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 コロナ禍により経済活動の停止を余儀なくされた全世界において、その血液ともいうべき現金の流れを取り戻すべく、各国の中央銀行がありとあらゆる手段を講じているが、我が国の日本銀行についても例外ではなく、国債の無制限購入を決めた。

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 国債とはそもそも国が発行する債権であり、現金を払って国債を購入する代わりに、満期になれば数%の利息が付いて償還されるものだ。この国債を、国から日本銀行が購入することで、結果として潤沢な現金を市場に流し込むことができるのだ。

 さて、この日銀の国債無制限購入について、「日銀の思い切った国債買い入れでハイパーインフレや円の暴落が起きないことは証明されている」と証言したのは安倍首相であるが、国債買い入れによってハイパーインフレが起きるというのは、どういうことであろうか。

 まず、インフレ(インフレーション)については、現金が社会的な需要よりも溢れている状態を指すが、端的にいえばモノの値段が上がることによって、現金の価値が下がってしまうことを示す。インフレの原因のひとつとして好景気があるが、これは、景気が良いためにモノが良く売れ、モノの需要が供給を上回ることによって、モノの値段が上がることに起因する。

 好景気によってもたらされるインフレを正しいインフレとするならば、物価がたったの1カ月で数百倍にも上昇する異常なインフレもありうる。それが、いわゆるハイパーインフレだ。特に第2次世界大戦後の日本やドイツは、ハイパーインフレに襲われ、労働者数カ月分の給与でようやく靴1足が買えるという事態であった。

 なぜこのような事態が起こったかであるが、まずは第2次世界大戦の戦時下の多大な戦費のほとんどについて、日銀による国債の直接引き受けで賄われたことに始まる。日本政府は国債を発行し、日銀がそれを買い受ける代わりに現金を渡す。この現金で戦費が賄われていたということだ。

 なんと、戦費として用意された額はGNP(国民総生産)の額の約40%にも膨れ上ったが、戦時中に現金が増刷された状況下で、戦後の経済停滞、物価供給難となるわけだから、その相乗効果としてハイパーインフレが起きてしまうことも想像に難くない。(後編に続く)(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

続きは: 逆境の日本に忍び寄るハイパーインフレと悪い円安 後編

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