昭和産業、基盤事業の強化と成長事業の育成により売上高2800億円を目指す

2020年5月18日 14:37

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 昭和産業は5月11日、長期ビジョンの実現に向け事業領域の拡大に挑戦するため、アグリビジネスへ新規参入すると発表した。鹿島第2工場内に人工光型の植物工場施設を建設し、リーフレタスなど葉菜類の生産・出荷・販売を行い、明治大学農学部と共同で大規模生産の検証を行う。

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 昭和産業は肥料事業、製粉事業を営んでいた伊藤英夫によって1936年に設立され、肥料、製粉、製油、製飴、化学薬品、紡績、製麦工場など幅広い分野へ進出した。

 2020年3月期の売上高は2,540億円。事業別の構成比は、小麦粉、調整粉、冷凍生地、冷凍食品などの製粉事業が32.2%、食用油、ギフトセット、脱脂大豆、菜種粕などの油脂食品事業が31.0%。以下、飼料、鶏卵他畜産物などの飼料事業が20.3%、糖化製品、コーンスターチなどの糖質事業が13.9%、倉庫事業が1.7%、不動産事業が0.9%を占める昭和産業の動きを見ていこう。

■前期(2020年3月期)実績と今期見通し

 前期売上高は2,540億円(前年比0.7%減)、営業利益は前年よりも4億円増加の88億円(同4.3%増)、経常利益は102億円(同3.8%増)であった。

 営業利益増加の要因としては、コーンスターチの販売増加などにより糖質が8億円、畜産物の販売支援の取り組み強化で資料が2億円の増益であった。一方、業務用油脂の販売減により油脂が5億円、小麦粉の価格引き下げにより製粉が1億円の減益であった。

 今期は第2四半期(4-9月)までは新型コロナウイルスの影響を考慮し、売上高2,560億円(同0.8%増)、営業利益84億円(同4.6%減)、経常利益92億円(同9.4%減)を見込んでいる。

■中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)による推進戦略

 人々の健康で豊かな食生活に貢献する理念の下、基盤事業の盤石化と成長事業を育成することにより、2023年3月期に売上高2,800億円(前期比10.2%増)、経常利益130億円(同28.0%増)を目指して次の戦略を推進する。

●1.基盤事業の強化

 ・グループ会社間の連携強化により、調達、製販、物流体制の強化。
 ・シェア拡大に向けIOT活用による生産能力増強とソリューション提案強化。
 ・オープンイノベーションを活用して高付加価値商品の開発。
 ・製造体制統合による生産効率の向上、販路の拡充を目指して、コメ油トップのボーソー油脂(東証2部)の子会社化へのTOBを開始。

●2.事業領域の拡大

 ・国内では、冷凍食品、植物由来食品の強化とアグリビジネスへの挑戦。
 ・海外では、中国、台湾事業の拡大とASEAN進出。

●3.社会的課題解決への貢献

 ・食品ロス削減、時短ニーズ対応、食品安全強化などESG経営推進。

●4.プラットフォームの再構築

 ・ICT活用による事業ポートフォリオ管理体制の強化。

●5.ステークホルダーエンゲージメントの強化

 ・ステークホルダーとの対話強化により、パートナーシップを推進。

 長期ビジョンで、創立90周年を迎える2026年3月期に売上高4,000億円、経常利益200億円の「穀物ソリューション・カンパニー Next Stage」となることを目指して、基盤事業の強化と成長事業の育成を進める昭和産業の動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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