胎児のRh血液型を判定し血液型不適合妊娠の治療に 成医研などの研究

2019年9月10日 13:27

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新たな出生前胎児遺伝学的検査法。(画像:国立成育医療研究センター発表資料より)

新たな出生前胎児遺伝学的検査法。(画像:国立成育医療研究センター発表資料より)[写真拡大]

 国立成育医療研究センター(成医研)などの研究グループは、胎児のRh血液型の検査法を新たに開発した。親子でRhのプラスマイナスが異なる際に起こる、いわゆる血液型不適合妊娠と呼ばれる同種免疫性胎児疾患への対策となるものである。

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 ヒトにはさまざまな血液型がある。最も有名なのはABO型、次いで知られているのはRh型であろう。実はまだあるのだが、ここでは余談となるので深くは触れない。

 Rhマイナス型は人口の0.5%、およそ200人に1人ほどいるとされている。これが問題になるのは、輸血の際だけではない。親子でRhのプラスマイナスが異なる場合、つまり妊娠した女性がRhマイナス型であるが、父親がRhプラス型であり胎児がやはりRhプラス型となった場合、これを血液型不適合妊娠という。なお、父親もRhマイナス型である場合は通常の妊娠とほぼ変わらない。

 現状においては、血液型不適合妊娠のリスクに備え、妊婦がRhマイナス型である場合の周産期医療においては原則全例、血液製剤の投与などの対応が取られる。体質にもよるのだが、胎児のRh血液型が正確に測定できない危険性があるからである。

 今回開発された新しい診断法は、妊婦の少量の血液を分析するだけで、99%以上の胎児のRh血液型を正確に測定できる、というものである。

 現状では胎児の血液型が分からない場合妊婦に多くの検査を行う必要があったり、血液製剤そのものにもリスクがあったり、医療コストが余計にかかったりするのだが、今回の検査法が普及すれば、それらの問題が解消し、日本におけるRh不適合妊娠の診断・治療のありようが大きく変わることになるという。

 研究の詳細は、最も権威のある臨床検査医学雑誌の一つClinical Chemistryに速報として掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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