稀勢の里、稽古を再開 進退を懸けて初場所へ

2018年12月28日 16:47

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 大相撲初場所(2019年1月13日初日・両国国技館)へ向け、横綱・稀勢の里が稽古を再開した。

 2018年は3場所を全休、九州場所でも横綱として87年振りとなる初日からの4連敗喫して途中休場と、不本意な結果に終わり1年を終えようとしている。横綱の存在意義が問われ続ける中で迎える来場所はいよいよ進退を懸けての土俵となる。

■横綱として、力士として

 もはや初場所で結果を残す以外、「生き残り」はない。

 1人横綱として土俵に立った11月の九州場所、優勝を公言しながら初日の貴景勝戦で右膝を負傷、そのままずるずると4連敗を喫す。場所後も調整の遅れから12月22日まで行われた冬巡業も全休している。

 先日発表された初場所の新番付では東の正横綱に座ったものの、白鵬、鶴竜の全休を踏まえた上での位置付けであることは言うまでもなく、年間を通しての勝ち星は秋場所の10勝のみ。横綱としてだけでなく現役力士としての役割を殆ど果たせていないことは明らかだ。

 年末を迎え、ここにきてようやく九州場所以来となる本格的な稽古を田子ノ浦部屋で開始、26日にはまず三段目以下の力士と数をこなした。翌日には大関・高安とも三番稽古を行なうなど状態の良さが伝えられている。高安とは左四つ以外にも右おっつけや突き、押しでの攻めといった様々な取り口を見せ、「(本番では)まわしがとれない時もあり、色んな場面がある」と語った。

■万全な状態を取り戻した上で

九州場所では初日から左を封じられ、攻め切れない取り組みが続き黒星を重ねた。警戒された中でいかに攻めるかが大きな課題とも言える。

 しかしそれ以前に、年を跨ぎ目前に迫っている初場所の土俵に上がる状態まで心身を鍛え上げる事が何よりも先決だ。これまでも場所前直前まで稽古を続けながらの欠場は幾度となくあった。さらに稽古と本番の土俵では相手の圧力や勝負勘などの面において別物であることも誰よりも承知しているはずだ。

 初優勝を遂げたのは2017年の初場所、横綱昇進後の翌場所でも連覇を成し遂げた稀勢の里。あれからもうすぐ2年が経つ。番付最上位に登り詰めたからにはいかなる時であれ、圧倒的な「相撲力」をみせつけること、それを続けていくしかないだろう。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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