終盤までの展開が秀逸!18年秋アニメ最大の目玉「SSSS.GRIDMAN」が熱い

2018年12月22日 18:59

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原作のアイデアを損なうことなく見事にアレンジされたグリッドマン(c)TRIGGER

原作のアイデアを損なうことなく見事にアレンジされたグリッドマン(c)TRIGGER[写真拡大]

■秋アニメで大きな反響を呼んだ「SSSS.GRIDMAN」

 すでに年の瀬も近づき、秋にはじまったアニメも次々と終わりを迎えている。秋アニメも数多くの作品が放送されたが、その中でも異彩を放っていたのが「SSSS.GRIDMAN」だろう。本作品は1993~1994年に放送されていた円谷プロダクション制作の特撮「電光超人グリッドマン」をアニメ化したもので、まだインターネットやパソコンが一般的でなかった90年代に電子世界を舞台にした意欲作だ。

【こちらも】円谷プロの特撮がアニメで復活!「SSSS.GRIDMAN」の魅力とは

 まだインターネット自体が普及していなかったこともあり、「グリッドマン」はコアなファンの間でしか語られることはなかった。しかし、インターネットが当たり前となった現代とでは相性がよく、さらに「特撮をアニメで表現する」という難題に「キルラキル」で知られるアニメーション制作会社「TRIGGER」が挑戦しているのだ。

■謎を回収しつつラストを迎える「SSSS.GRIDMAN」

 ツツジ台に住む高校1年生の響裕太。彼は突然の記憶喪失に襲われてしまうものの、「ハイパーエージェント」であるグリッドマンのことはぼんやりと覚えていた。グリッドマンは裕太の同級生である宝田六花の実家であるジャンクショップに存在するデスクトップパソコン内に存在しており、怪獣が現れた際は2人が合体して戦闘することになる。

 グリッドマンと怪獣の戦いを垣間見た裕太とその友人である内海将、そしてジャンクショップの娘である六花の3人は「グリッドマン同盟」を組み、数々の怪獣と戦うことになる。さらに、グリッドマンのアシストウェポンに変身できる「新世紀中学生」という謎の4人組とも合流し、怪獣を追い込んでいく。

 しかし、戦闘を繰り返す中で彼らの住む街は、同級生である新条アカネによって創造されたもので、怪獣も彼女が生み出したものであることが判明する。その事実を知ってまで3人は前に進もうとする中で、アカネ自身の精神が壊れ始めていく。裕太たちはアカネ自身を助ける必要があると感じるも、彼女を影で操っていたアレクシスが立ちはだかるのだったー。

■挑戦を続ける「TRIGGER」だから作れたグリッドマン

 最終回目前のエピソードでは、今まで怪獣を生み出していたアカネ自身がアレクシスによって怪獣に変身させられるという衝撃の展開で終わっている。この怪獣表現は特撮を常に意識しており、アニメ的なモンスターではなく着ぐるみを意識したデザインがされ、あえて怪獣の作画では表情を付けない工夫も取り入れられている。

 さらに、ただのファン向けのリメイクとならないようにするため、原作の重要な部分だけを世襲しながら登場人物やメカ、世界観は一新。特にキャラクターの掘り下げに力を入れており、主要人物の周りの人間作りがしっかり行われることで感情移入がしやすい作品となっている。また、キャラデザインにしても現代的になっており、特にヒロインである宝田六花は一時期SNSを騒がせたほどだ。

 本作ではグリッドマンと怪獣の戦闘シーンは最大の見せ所であり、こちらも特撮に見せるように建物にぶつかったときの表現などにこだわりが見られる。反対にドラマパートは実験的な表現技法が使われており、今までにないアニメとなっているのは確かである。

 12月21日に最終回を迎えた「SSSS.GRIDMAN」だが、動画配信サービスでは1話から見られるため、「特撮に挑戦したアニメ」をぜひ体感していただきたい。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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