兜町がインフルエンザの時期にミズホメディーを持ち出す理由

2018年12月19日 20:33

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 今年もインフルエンザが猛威をふるっている。インフルエンザの時期になると「季節銘柄」として、証券筋はミズホメディーを持ち出してくる。ある意味で無理からぬ話で前2017年12月期も、総売上高50億7100万円の56%弱を、インフルエンザ試薬が占めている。

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 同社が臨床試薬販売会社として創業されたのは、1977年。体外試薬品専業に転じたのは、81年のこと。専業としての特長は対象疾患に対する幅広さや技術力に見て取ることができる。代表的な試薬としては、次の様な商品・施策が指摘できる。

★インフルエンザウィルスキット: スポンジタイプと純毛タイプがある。ともに試薬の抽出効率を高めるため、機器(容器)内の側面と底面の溝が備わっている。また機器自体は、しなやかなソフト軸で鼻腔・咽頭のそれぞれのぬぐい液を左右から検査が可能(左側がA型インフルエンザ用/右側がB型インフルエンザ用)。陽性反応か否かは約5分で判明。

★アデノウイルスキット: 感染すると高熱がでるアデノウィルスは、実に厄介な代物。引き起こす疾患は主には咽頭炎・結膜炎であるが、胃兆炎・肺炎・膀胱炎などにも及ぶ。それだけに一刻も早い感染の有無を確認する必要がある。医師の技量にもよるが、「腹痛」を訴え来院した患者に対し安易に「胃腸薬」を処方してしまうケースも少なくないとされる。

★肺炎球菌キット: 肺炎などの感染症の原因となるグラム陽性菌を微量の尿で検出する。陽性か否かの判定までに要する時間は5分余。

★クイックチェイザーシリーズ: 血清または血漿で検査が可能。感染症3項目が同じ測定法・判定法で調べることができる。シリーズの「HBs Ag」と「HBs Ab」ではB型肝炎ウィルスの陽陰性反応が得られる。また「TP Ab」では梅毒の判定がなされる。

★感染症診断: 迅速システムの対応には積極的姿勢を継続している。昨年2月に発売した「クイック チェイサー Immuno Reader II」(製造:富士フィルム)は「I」の後継機。感染症の診断に際しテストカートリッジがセットされた後は判定結果のプリントアウトまで自動的に行う。そうした「I」の機能に加えカラー液晶のタッチパネルを採用し診断を受ける人の使い勝手に配慮している。そして最大の特長は検体IDや測定者IDのバーコード読み取り機能を追加したことでオンラインシステムにも対応可能とした。

 ところでミズホメディーでは一般試薬とし「妊娠検査薬」や「排卵日予測検査薬」を販売している。アナリストは言ったものである。「男性読者の大方は無縁と考えるだろうが、それは違う。女性のアスリートにとって排卵日予測検査薬は不可欠。彼女たちの頑張りをその目にすることで、男性陣もアクティブさをもらい受けるわけだから」と。納得。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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