大相撲九州場所 稀勢の里が初日黒星

2018年11月11日 20:14

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 大相撲九州場所が11日、福岡国際センターで初日を迎えた。

 横綱・稀勢の里は結びで小結・貴景勝にはたき込みで敗れ、初日黒星となった。白鵬、鶴竜の両横綱が休場の今場所を引っ張り、さらに完全復活が期待される稀勢の里だが痛い黒星スタートとなった。

■相手の素早い動きを止められずに

 初の一人横綱となった初日、激しい応酬の末、稀勢の里が勝ち名乗りを受けることは出来なかった。

 立ち合いより右からの強烈な張り手や追っ付けで上体をのけ反らせたものの、逆に腰が高くなっていったのは稀勢の里。一回り体格の小さい貴景勝を捕まえきれずにいると今度は突っ張りを喰らい、横に回られて一気に貴景勝の相撲に。それでも動き回る貴景勝の下からの当たりに耐えながら、距離を縮め右を差そうとしたところを左のはたき込みをまともに受け、一瞬で横綱が土俵に這いつくばった。

 同じ様な展開となった先場所の取り組みでは貴景勝の当たりを土俵際でこらえ、逆転で白星を手にしているが、今回は終始、逆襲の気配は感じられないままだった。表情がやや曇り、また相手を捕らえようと前に出る動きに落ち着きと勢いが感じられなかったのは先場所、三役で勝ち越した上り調子の貴景勝の動きの良さが上回った為か。

■1年の最後を締める存在として

 昨年3月の春場所以来の皆勤となった秋場所、10勝5敗の成績で乗り切り、更なる万全の状態を世間にアピールする場所として期待のかかる1年納めの福岡の土俵。同じ日、大関・栃ノ心や関脇・御嶽海にも土がつき、序盤から上位陣が安定して勝ち続けた秋場所とは異なり、はやくも波乱含みの様相を呈している。

 先場所優勝の白鵬や、鶴竜が不在となり、千秋楽まで結びの取り組みを務めることになる今場所、最高位としての責任と重圧を一人で受けなければならない中、この初日の黒星が後にどう響くか。

 場所直前には「良い稽古が出来て良い状態で過ごせた。あとは結果を残すだけ」と意気込みを語っていた稀勢の里。平成最後の九州場所、稀勢の里にとって試練となるであろう15日間が始まった。(記事:佐藤文孝・記事一覧を見る

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