NASA、太陽探査機『パーカーソーラープローブ』の打ち上げに成功

2018年8月14日 09:01

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先端に「パーカーソーラープローブ」を搭載した、デルタⅣヘビーロケット、リフトオフ (c) NASA

先端に「パーカーソーラープローブ」を搭載した、デルタⅣヘビーロケット、リフトオフ (c) NASA[写真拡大]

 NASAは12日午前3時31分(日本時間12日16時31分)、太陽にもっとも近づく探査機『パーカー・ソーラー・プローブ』の打ち上げに成功した。フロリダ州のケープ・カナベラル空軍基地で、「デルタIVヘビーロケット」によって打ち上げられた。現地には、1958年に「太陽風」の存在を提唱し、今回の探査機の名前にもなった、物理学者ユージン・パーカー氏も駆けつけ、ロケットの打ち上げを見守った。

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 ジョンズ・ホプキンズ大学、応用物理研究所が開発した『パーカー・ソーラー・プローブ(以下、探査機)』は、これから7年間の任務を開始するため、予定通りの軌道にのることが出来た。

 旅の最初の1週間で探査機はアンテナと磁力計ブームを展開する。機器のテストは9月上旬から始まり約4週間続く。そして金星に向かって飛行し、10月初旬には金星を使った最初のフライバイを実施する。探査機は、金星の重力を使って軌道と速度を整え、太陽の周りをより正確に飛行するようになる。この最初のフライバイで、11月初旬には太陽から2,414万キロメートル地点にまで接近することになっており、これは、太陽コロナの内側に入ることになる。

 7年間のミッションのうち、金星を使ったフライバイを6回行い、トータルで太陽に24回接近通過し観測する予定である。もっとも近づく時は611万キロメートルまで接近する。この時点で探査機は、時速70万キロメートル(秒速約200キロメートル)となり、人類が作った探査機の中で最速となる。

 探査機は、長年の課題であった太陽の基本的な謎を解明するためにコロナに接近する。1つは、太陽の表面よりも300倍熱くなって太陽を取り巻くコロナの熱の謎。2つ目は、超音速の太陽風を駆動しているものが何か。3つ目は、太陽系を通して吹く太陽物質の一定の流れについて。4つ目は、太陽エネルギー粒子を加速させるものについての謎だ。

 科学者たちは60年以上に渡ってこの謎を考えてきたが、今回、非常に高温なコロナの中での探査を可能にすることによって、これらの謎の解明が期待されている。

 探査機は、地場を研究するために設計された4つの計測器が搭載されており、プラズマ、高エネルギー粒子を観測し、太陽風の画像も撮影する予定である。

 カリフォルニア大学バークレー校、ワシントンの米海軍研究所、アナーバーのミシガン大学、ニュージャージーのプリンストン大学がこれらの調査をリードしている。また、探査機はNASAの「Living with a Starプログラム(LWS)」の一部として運用されている。

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