宇宙ロケットの再利用は可能なのか?JAXAが実験開始

2018年8月2日 19:29

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 莫大なコストをかけて打ち上げている宇宙ロケットには、それこそ小国家の1年の予算と言っても過言ではないほどのコストが、1回の打ち上げにかけられている。

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、来年からこの宇宙ロケットを繰り返し使えないか実験を始めると公表した。主な実験場としては、秋田県能代市が挙げられる。

●JAXAの再使用ロケット実験の目的とは?

 再使用ロケット実験は、RVT(Reusable Vehicle Testingの略)とも言われており、JAXAの研究プロジェクトの一つとして行われている。この実験は、宇宙開発が抱える問題の一つでもある、輸送費用のコスト削減に対する改善のための実験だ。

 地球から宇宙へ荷物を運ぶのに、莫大なコストがかかる原因は何と言っても毎回使い捨てにしている宇宙ロケットの部分にある。これを、再使用ロケットに変えることで飛行1回あたりの減価償却費がはるかに安く抑えることができるため、輸送コストが抑えられるわけだ。

 ちなみに、1回の宇宙ロケットの製造費用は数百億円であり、これを毎回再使用ロケットにすることで50%程度の節約を行うことができるという。輸送費の大半は、この宇宙ロケットの製造費用が占めているので、JAXAも実験に熱が入る。

●再使用観測ロケットでの研究

 再使用ロケット開発のための、研究材料として使用されているロケットが再使用観測ロケットだ。この再使用観測ロケットの開発は、設計開始から5年の期間と50億円の予算が見積もられている。実験内容については、1日5回の再使用観測ロケットの飛行を連続して行ったのち、分解整備を行う予定だ。

 また、観測ロケットの1回の打ち上げにかかるコストは、2,500万円と予定されており、現在使用している実験観測用ロケットは、使い捨てで1機6億円であることから、かなりのコストダウンに繋がる。

 コスト面から、再使用ロケットへの期待が高いのはもちろんだが、宇宙開発が環境に及ぼす影響についてもかなりの軽減に繋がることが期待されている。

 現代社会でもエコに対する呼びかけはかなり高くなっているが、JAXAでも同じことが言えるのである。これからの、JAXAの開発実験にこれまで以上に期待がかかる。

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